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作業療法士は、患者のリハビリテーションと生活の質向上を目指し、日々奮闘しています。
この専門職は、患者一人ひとりの身体的、精神的な状況を理解し、彼らの日常生活の改善を支援することに重点を置いており、現代の日本にはなくてはならない職業といえるでしょう。
しかし、現代の医療業界において、AI(人工知能)の急速な発展は、作業療法の実践方法に大きな変化をもたらしています。
この記事では、AIが作業療法士の未来に与える影響とAIの活用方法やデメリットについて解説していきます。
特に、AIが作業療法士に取って代わる可能性、デジタル技術の進化が患者ケアにもたらす利点、そしてAIが進化している現代でどのような作業療法士を目指すべきなのか。また、AIの限界と、この新しい技術を取り入れながらも、作業療法士が人間らしさを保ち続けるための方法についても考察します。
これからの時代、作業療法士はAIとどのように共存し、患者に最適なケアを提供していくことが求められるのでしょうか。現役OTが考察・まとめていきます。
AIは作業療法の分野でも急速な発展を遂げてきています。AIに代替えされる作業療法士にならないように、日々のスキルアップや学べる環境に身を置く意識を持っておきましょう。
作業療法士とAI(人工知能)の関係性について現役OTが考察
仕事作業療法士がAIに取られない理由
AIの急速な発展により、様々な仕事がAIに置き換えられ、消失していくといわれていわれています。
では、作業療法士という仕事はAIに置き換えることができるのでしょうか。
結論から言うと作業療法士はAIに置き換えることが難しい仕事であると言えます。その理由について考察してみましょう。
作業療法士の役割とAIの限界
作業療法士の主な役割は、患者一人ひとりの身体的、精神的、社会的ニーズに基づいた個別のリハビリテーションプランを作成し、実施することです。
このなかには、ただ訓練を行うだけではなく、患者との密接なコミュニケーション、観察、そして創造的な問題解決が必要とされます。
AIはデータ分析やパターン認識に優れていますが、患者の感情や価値観を理解し、それに基づいた治療計画を作成する能力には限界があるのです。
人間の感情と創造性
作業療法士は、患者の感情や挑戦に対する反応を理解し、それに応じて柔軟に治療計画を調整する必要があります。例えば、患者がリハビリに対してモチベーションを失っている場合、作業療法士は患者を励ますための具体的な方法を見つけ出すことが求められます。
AIにはこのような感情的な要素や個別の対応を理解し、適用する能力がありません。
現在のところAIが人間の感情に寄り添うということはできないようです。
最新技術との組み合わせ
最新の技術進化に伴い、作業療法士はAIやデジタルツールを利用する機会が増えています。例えば、患者の動作を分析するためのウェアラブルデバイスや、リハビリテーションの進捗を追跡するアプリケーションなどがあります。
これらの技術は作業療法士の仕事を補助するものであり、より効果的な治療を提供するためのツールとして機能しますが、作業療法士自身の専門知識や人間的な判断を置き換えるものではないのです。
作業療法士がAIに置き換えづらいとの研究結果がある
作業療法士の職はAIに置き換えることが難しいとされている仕事の中で、特に高いランキングを獲得しています。オックスフォード大学の研究によると、作業療法士はAIやロボットによって代替されにくい702の職業の中で6位にランクインしています。(参考:AIと共存する未来)
この結果は、リハビリ関連の仕事が上位に位置することからも、この分野がAIやロボットに奪われにくいことを示しています。
このランキングは、人間特有の能力、特に対人関係の構築、手先の器用さ、交渉力などの要素が重要視されています。リハビリテーションの現場では、例えば関節の微妙な違いを感じ取ることや、患者の価値観や感情の変化を考慮することなど、AIでは対応しきれない要素が多く存在します。
作業療法士のAI活用の具体例
作業療法士のAI化に関しては、近年、いくつかの進歩が見られます。特に、IoT(モノのインターネット)技術の利用が拡大しており、リハビリテーションにおける新たな可能性を開いています。
AIで評価や計画立案
例えば、トヨタ自動車と株式会社Moffが開発に取り組んでいるIoTを活用したリハビリ支援サービスは、医療機関向けのIoT機器「Moff Band」を使用して患者のリハビリの進捗を可視化し、エビデンスに基づいたリハビリ提供を実現することを目指しています。
このサービスは、病院、介護施設、在宅など、様々な環境でのリハビリを支援し、データの連携を通じて一貫したケアを提供できるようになることが期待されるのです。
つまり、このAI化が進行することで作業療法士の身体的評価やプログラム立案の過程が消失するもしくは、大幅に負担が軽減する可能性があるのです。
AIを用いた循環器リハビリ
大阪大学と株式会社リモハブが共同で開発している「リモハブ」は、心臓疾患患者のための遠隔心臓リハビリシステムです。このシステムでは、タブレット端末、ウェアラブル心電計、運動量を計測するIoT搭載のスマートバイクを使用して、患者が自宅でリハビリを行うことを可能にします。
これにより、通院の困難な患者にも心臓リハビリの恩恵をもたらすことができます。
作業療法士協会が進めるAI技術
日本作業療法士協会が進めているプロジェクトでは、介護の現場のニーズに合わせたロボットやAIの活用方法が検討されています。
認知症患者の徘徊に対する対応など、患者の心理状態を迅速に察知し、適切な対応を行うためのシステム開発が進んでいます。
これにより、徘徊を防ぐだけでなく、適切に支援するための施策が求められています。
作業療法士がAIを利用するデメリット
AIに代替えされない作業療法士になるためには
作業療法士がAIに代替されないためには、以下の方法を取り入れることが有効です。
AIに対する知識の習得
AIの強みと限界を理解することが重要です。新聞、ニュース、インターネットなどを活用して最新のAIに関する情報を収集し、どのようにAIを効果的に利用できるかを学ぶことでAIに代替えできるものと代替えすることができない事を知ることができるのです。
AIにできない能力の強化
作業療法士として、患者とのコミュニケーションや心身のケアを行うなど、「ヒトの温かみ」を提供する能力を高めることが重要です。基本的な検査やリハビリプログラムの提案、データ測定・解析はAIに任せつつ、人間らしい接触を通じて患者の感情や生活状況を理解し、寄り添うことが重要です。
現在のところAIに感情を読み取ることは難しく、人が持つ安心感を与えることもできません。
作業療法士として患者の不安や悩み事をいかに解決することができるのかが人間がAIに負けないためのひとつの鍵となるでしょう。
感受性と表現力の向上
感受性と表現力はAIに代替できない重要なスキルです。これらの能力を磨くことにより、患者のニーズを理解し、適切なアウトプットを提供することが可能になります。自己認知を深め、多様な知識を獲得することも重要です。
また、作業療法は治療に作業活動も取り入れます。細かい指の動きや対象者の好みに合わせた作業や難易度の選択はAIにはできません。
作業活動の幅を広げるということも重要となるのです。
職業の特性を理解し活用する
作業療法士は、AIやロボットによる代替可能性が低い職業とされています。
それは、患者一人ひとりの感情や生活環境を理解し、個別化されたケアを提供する能力が求められるためです。これらの特性を活かし、対象者に寄り添うことが大切です。
とにかくスキルアップする
AIに代替えされない作業療法士を目指すためには知識や技術を深めるスキルアップが必要です。
スキルアップするためには、資格の取得や日々の学習が必要となるのですが、最も重要なのは経験を積み学びのある職場にいることです。
もし、現在の職場が単調な業務のみでスキルアップの機会がない職場であるならば、今後AIに代替えされる作業療法士になる可能性が高いです。
AIに代替えされる未来を迎えないためにも、今のうちからスキルアップし、職場の選択も見誤らないようにしましょう。
しかし、職場の環境を転職前に知ることは難しいですよね。ましてや、給料や休日など待遇も整っている職場はなかなか見つかりません。
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作業療法士とAIについてのまとめ
AIの進化は、作業療法士に新しいツールを提供し、効率化を促進することができますが、患者一人ひとりに合わせた個別のケアや、人間の感情を理解する能力を持つ作業療法士の役割は、AIによって取って代わられることはありません。
作業療法士は、AIとの共存を学び、その限界を理解しつつ、人間特有の感情や創造性を活かした治療を提供し続けることが重要です。
また、AIに代わることのないコミュニケーションや知識・技術を持ち合わせることが作業療法士として生き残るための方法となるため、日々スキルアップの気持ちを忘れないように努力しましょう。