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作業療法士と音楽療法士は、リハビリテーションと患者の生活の質向上において重要な役割を果たしています。
作業療法士は認知度が徐々に向上してきていますが、音楽療法士という職業を聞いたことがある方は少数でしょう。
音楽療法士は、音楽を用いて感情的な表現を促し、認知機能の刺激、ストレスの軽減、社会的な交流の促進を図ります。また、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の患者に対する非薬物療法としての可能性が注目されているのです。
作業療法士が音楽療法を行うこともあるかと思いますが、音楽療法士という資格を取得すれば、治療の幅や専門性の向上が期待できます。
この記事では、作業療法士と音楽療法士がどのようにして患者のリハビリテーションと生活の質の向上に寄与しているのか。
また、作業療法士が音楽療法士となるためにはどうすればよいのか、メリットはあるのかなどを解説していきます。
作業療法士は日々スキルアップしていかなければならない職業です。また、給料も低いためより福利厚生が充実した職場で働くことが、作業療法士としての成長に繋がります。
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【資格がいる?】作業療法士が音楽療法士になる方法とメリット
音楽療法士の役割とアプローチ
作業療法士で音楽療法士が気になっている方も多いと思います。まずは、音楽療法士について解説していきましょう。
音楽療法士の基本的な役割
音楽療法士は、音楽を用いて患者の心身の健康をサポートする専門職です。
主な役割は、音楽活動を通じて患者の感情的、認知的、社会的な健康を促進することにあります。音楽療法は、言語を超えたコミュニケーション手段として、特に非言語的な表現が困難な患者にとって有効となるのです。
作業療法士が行う音楽療法と同様の意味を持つということですね。
音楽療法のアプローチ
音楽療法士は、患者のニーズ、好み、治療目標に基づいて個別化された治療計画を立てます。これには、患者の年齢、音楽の好み、身体的・精神的な状態が考慮されます。
もっとも重要な点は、患者自身が主体的に音楽療法に取り組み、楽しむことができるかという点です。
音楽療法には、楽器演奏、歌唱など実際に自分で音や声を出す方法と音楽聴取、音楽に合わせたリラクゼーションなど音楽を聴く方法があります。
音楽療法の効果
- 認知機能の刺激: 音楽は記憶や注意力などの認知機能を刺激することが知られています。アルツハイマー病患者においては、音楽が記憶の回復を助けることが示されています。
- 社会的交流の促進: 音楽活動はグループで行われることが多く、社会的な交流やコミュニケーションを訓練するためのきっかけとなります。
- 身体機能の改善: リズムに合わせた動作は、運動機能の改善に役立ちます。特にパーキンソン病患者において、リズムに合わせた歩行が効果的であることが報告されています。音楽に合わせて上肢を動かすことによって、可動域の改善や筋力の増強も見込めます。
作業療法士と音楽療法士の関係
そもそも、作業療法士と音楽療法士の関係はどのような点なのでしょうか。
2つの仕事はお互いを補う関係
作業療法は主に患者の日常生活の活動(ADL)の改善に焦点を当て、身体機能の回復や社会参加の促進を目指します。
一方、音楽療法は患者の感情的な表現や認知機能の刺激、社会的な交流を促進することに重点を置いています。
作業療法において患者の認知機能の改善や意欲の向上は重要となります。このページをご覧の方のなかにも音楽療法を認知や意欲向上の観点で取り入れている作業療法士も多いのではないのでしょうか。
つまり、作業療法士にとって音楽療法士は作業療法の質を上げる役割となるのです。
作業療法×音楽療法における実際の症例
最近の研究では、脳卒中患者において、作業療法と音楽療法を組み合わせた治療が、運動機能の回復や言語能力の改善に効果的であることが示されています。
例えば、リズムと動作を組み合わせた療法では、音楽のリズムに合わせて特定の動作を行うことで、患者の運動協調性やバランス感覚の向上が見られました。
また、音楽を用いた言語療法では、歌唱を通じて言語表現の豊かさや流暢さが改善される例が報告されています。
このように、作業療法と音楽療法を組み合わせることでアプローチの幅を拡大することができるのです。
音楽療法士の資格
日本における音楽療法士の資格は、公的な国家資格ではなく、民間資格や認定資格が中心です。以下に主な音楽療法士の資格を表にまとめました。
資格名 | 発行団体 | 概要 |
---|---|---|
日本音楽療法学会認定音楽療法士 | 日本音楽療法学会 | 音楽療法の専門的知識と技術を有し、音楽療法の実践能力を認定する資格。学会が定める基準を満たし、試験に合格する必要がある。 |
臨床音楽療法士 | 日本臨床音楽療法士協会 | 音楽療法の実践に必要な専門的な知識と技術を持つ者に与えられる資格。協会が定める研修を受け、試験に合格する必要がある。 |
音楽療法士MT-BC(Music Therapist-Board Certified) | 日本音楽療法学会(米国音楽療法協会の資格を日本で認定) | 米国音楽療法協会(AMTA)が認定する資格。音楽療法の専門教育を受け、米国の認定試験に合格した者に与えられる。日本音楽療法学会がこの資格を日本で認定している。 |
難易度はそれぞれ異なりますが、音楽療法に関する資格は上記の3つが考えられます。
作業療法士が音楽療法士の資格を取得する方法
上記では音楽療法士の資格を3つ紹介しましたが、作業療法士から音楽療法士になるための現実的な資格は日本音楽療法士学会認定音楽療法士のみです。
というのも他の資格は、音楽関係の大学で教育を受ける必要があったり、海外の試験を受ける必要があるからです。
ということで、今回は作業療法士から日本音楽療法士学会認定音楽療法士になるための方法を記載します。
1. 日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格取得方法
- 教育プログラム: 日本音楽療法学会が認定する大学院または大学の音楽療法関連のコースを修了する。もしくは、作業療法士の臨床経験5年(内音楽を用いた経験を2年)を行い、必修講習会コースを受講。(ピアノ実技および弾き歌い、音楽理論、小論文)
- 試験: 日本音楽療法学会が実施する認定試験に合格する。
- 申請: 必要な書類を準備し、認定音楽療法士としての申請を行う。
おそらく、作業療法士が音楽療法士を取得する場合は、必修講習会コースを受講する必要があるかと思いますが、資格の取得までにおよそ2年半を要します。ピアノの弾き語りなども必修となるため難易度がかなり高いと言えそうです。
作業療法士が音楽療法士の資格を取るメリット
作業療法士が音楽療法士の資格を取得することは簡単なことではありません。難易度も高いですし、取得するまでの時間も長くかかります。
しかし、それほどまでの手間と時間をかけて音楽療法士の資格を取得する意味があるのでしょうか。
作業療法士が音楽療法士の資格を取得するメリットという観点から考えてみましょう。
専門的な音楽療法が提供できる
作業療法士は音楽療法士の資格がなくとも、音楽鑑賞などの音楽療法を提供することができます。
しかし、音楽療法士になることで更にエビデンスが高く幅広い音楽療法を提供することが可能となるのです。
より専門的で効果の期待できる音楽療法を提供するためには、音楽療法士の資格取得が必要となるのです。
多くの専門領域で生かせる
音楽療法士の資格は、子供から高齢者まで、または自閉症、発達障害、身体障害、精神障害、認知症の方など幅広い年齢増や疾患への作業療法に生かすことができます。
一人でも多くの方に役に立つ、作業療法を身に着けたいというのであれば音楽療法士の資格はメリットが大きいでしょう。
作業療法士としての差別化された強みになる
音楽療法士の資格を持つ作業療法士は数少ないため、作業療法士としての価値を高めることに繋がります。
例えば、転職の際なども音楽療法の魅力や、その希少価値を伝えることで転職を有利に進めることができるかもしれません。
他の作業療法士が取得しづらい音楽療法士の資格を取得するということは、それだけで自身の価値を他にはないものに変えることができるのです。
作業療法士×音楽療法士【まとめ】
今回は、作業療法士と音楽療法士の関係や、作業療法士が音楽療法士になるための方法・メリットを紹介していきました。
結論から言うと、作業療法士が音楽療法士を取得することは難易度が高くあまりお勧めしません。
さらに、音楽療法士の資格がなくても音楽療法は実施できるという点からも、資格を取得するメリットはそれほど多くないといえるでしょう。
もし、音楽療法に興味がある方は音楽療法を積極的に取り入れている職場へ転職してみることをおススメします。音楽療法に積極的な職場を探すためには転職エージェントを利用してみてください。
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