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患者さんのリハビリを行う仕事として活躍する職業作業療法士(OT)。
作業療法士になるには、何をしたらよいのでしょうか?また、資格取得のために行くべき学校や難易度についても徹底解説していきます。
作業療法士は専門性も高く、世の中の役に立てる仕事。そして、資格を保有できるため就職難に陥ることは稀である安定した職業といえるでしょう。
私は、現役で作業療法士として働いていますが作業療法士の資格を取得したことに後悔はありません。
将来性の不安さや人間関係。給料の面など不満を上げればきりがないのですが、悪い仕事ではないということは確かでしょう。
作業療法士の将来性については以下の記事にまとめています。
関連記事:【飽和状態】作業療法士に将来性はないのか現役OTが分析
資格取得に大きなメリットがある作業療法ですが、作業療法士になるためにはいくつかの手順を踏む必要があります。
では、早速作業療法士になるためにはどのようなステップを踏めばよいのか、難易度等にも触れつつ説明していきます。
作業療法士になるには?難易度と資格取得について徹底解説
作業療法士になるには
作業療法士になるためには、作業療法士の国家資格を取得する必要があります。
そして、作業療法士の国家資格を取得するためには、3年もしくは4年制の作業療法士の養成課程がある専門学校もしくは大学に通い、受験資格を満たす必要があります。
作業療法士の国家資格を取得した後、もしくは取得予定の時期に就職活動をし、作業療法士としての業務を開始することによって晴れて作業療法士になれるということです。
高校生から作業療法士になるには
最も、作業療法士を目指すことを心に決める方が多いのが高校生の時期です。
高校生から作業療法士になるためには以下の順序を踏む必要があります。
- 高校卒業後に作業療法士の養成校(大学・専門学校)に入学する。
- 養成校の卒業と作業療法士の国家資格取得をする
- 就職活動をし作業療法士として勤務する
簡単に説明すると上記の3つとなりますが、養成校ではいくつかの医療施設や介護施設に実習に行かなければならず、国家資格取得のための勉強以外にもやるべきことが多くあります。
また、留年をする人も相応に存在するためある程度の勉強をしていく覚悟が必要となるでしょう。
ちなみに、私の通っていた作業療法士学科では4年制の大学だったのですが、留年・浪人をせずにストレートに作業療法士となることができたのは、半数以下でした。
中卒で作業療法士になるには
中学を卒業し、すぐに就職をしたが、作業療法士を目指したいという方もいますよね。
中卒から作業療法士になるには高卒の場合と若干違いがあります。
- 高校に入学し卒業もしくは大検(高卒認定試験)を受ける
- 作業療法士の養成校に入学し、国家資格取得・卒業
- 作業療法士として勤務
作業療法士の養成校は、高校卒以上の学歴が必要となるため、高校に通って卒業する。もしくは、高卒認定試験に合格する必要があります。(高等学校卒業程度認定試験について(文部科学省))
高卒と比較すると勉強することは増加していますので、少々難易度が上がることは間違いないでしょう。
大学生(短大・専門学生)から作業療法士になるには
現在、作業療法士の養成校以外の大学や専門学校・短期大学に通われている方が作業療法士になるための手順は以下です。
- 現在の大学を退学もしくは卒業
- 作業療法士の養成校へ入学
- 養成校卒業・国家資格取得
- 作業療法士として勤務
残念ながら、作業療法士になるためには必ず作業療法士の養成校を卒業する必要があります。
そのため、現在の通学している大学は退学・卒業したのちに作業療法士の養成校に通いましょう。
社会人から作業療法士になるには
高校を卒業し、一般企業で働いているけども作業療法士になりたいという方も多く、私の周囲にも30代以上で作業療法士の養成校へ通っている方がいました。
社会人から、作業療法士になるためには以下の工程を踏む必要があります。
- 作業療法士の養成校に入学
- 作業療法士の養成校に入学し卒業・国家資格取得
- 作業療法士として勤務
工程としては、高校卒業と変化ないのですが、社会人から作業療法士を目指す場合には2種類の選択があります。
一つは、現在の会社を辞めて作業療法士の養成校に通うこと。
そしてもう一つが、働きながら作業療法士を目指すことです。
働きながら作業療法士を目指す場合は、仕事が夜間の場合を除き、夜間に授業を行っている養成校に通う必要があります。
夜間に勉強をして日中は社会人として働くという毎日であれば、学費のことも気にせずに作業療法士を目指すことができます。
しかし、注意点としては臨床実習は日中にしか受けることができないということです。臨床実習の期間は会社を休む等の対応が不可欠であるため、身体的にも心理的にもかなりハードね毎日となるでしょう。
主婦が作業療法士になるには
続いては、主婦が作業療法士になる方法。
- 作業療法士の養成校に入学
- 作業療法士の養成校に入学し卒業・国家資格取得
- 作業療法士として勤務
高校を卒業していれば、基本的に社会人が作業療法士になる場合と大差ありません。
しかし、主婦業をこなしながら作業療法士を目指すためには、自分の時間が一切なくなるということや、睡眠時間を削ることとなるということを覚悟しておいた方が良いでしょう。
主婦として、作業療法士を目指すのであれば日中に学校。夕方には帰宅し、自宅のことをしなければならないということになります。
さらに、定期試験や実習中は自宅でもレポートや試験勉強をしなければならないため、寝る間を惜しむ必要があるでしょう。
主婦の方が養成校を選ぶポイントとしては、3年間朝から晩まで勉強をして資格取得できる専門学校を選ぶのか。
もしくは、授業の合間が多く、比較的ゆったりと時間がある4年制の大学を選ぶかです。
どちらにせよ、実習中や国家試験の勉強中は暇がなくなるという覚悟が必要です。
通信教育を利用して作業療法士になるには
働きながら作業療法士の資格を取得したいが、夜間に行く暇もないという方は、通信教育を利用したいと考えることが多いようです。
しかし、残念ながら作業療法士に通信教育は存在せず、作業療法士の養成校に通う必要があります。
現在のところ、働きながら作業療法士を目指す方法は、夜間の作業療法士養成校に通うしかありません。
作業療法士になる難易度
作業療法士になるには、二つの壁を超える必要があります。
一つは、作業療法士の養成校を卒業すること。
二つ目は、作業療法士の国家試験に合格することです。
作業療法士養成校を卒業する難易度
一つ目の壁である、作業療法士の養成校卒業。
養成校を卒業する難易度はやや高いといってよいでしょう。
引用:厚生労働省
作業療法士養成校における、留年率は4年制大学で17.7%。
大学全体の留年率は18%前後ですので、作業療法士養成校においても大差はなく。留年する確率もそれほど高くはありません。
しかし、卒業率を見てみると作業療法士養成校では、4年制大学で72%。
大学全体では、80%前後の卒業率があるため、作業療法士養成校における卒業率は低く、卒業の難易度がやや高いことが示唆されますね。
私の通っていた大学でも、勉強が嫌になった方から精神的に病んでしまった方。また、他の仕事に就きたくなった方など、様々な理由で退学をしていきました。
臨床実習は依然と比較して、レポートの量など減少傾向にありますので、精神的な理由での退学は減少していくのではないかと思いますが、勉強量は変化しませんので勉強嫌いな方にとっては、より難易度が高く感じるでしょう。
作業療法士国家試験の難易度
作業療法士養成校を卒業しても、国家試験に合格しなければ作業療法士になることはできません。
作業療法士国家試験の難易度は、高めです。
時折、作業療法士の国家試験の難易度が低いといっている方を見かけますが、難易度だけで見るとかなり高いレベルであるといえるでしょう。
というのも、作業療法士の合格率は年にもよって異なりますが、70~80%前後で経過しています。
この数字だけを見ると、作業療法士の国家試験は7割以上が受かっており、難易度が低いと感じるでしょう。
しかし、養成校で4年間必死に勉強しても3割が落ちるのです。難易度が低いと思って受けてはいけません。必死に勉強をしなければ受からないという覚悟をしておきましょう。
私の養成校では、大学4年生の秋から1年間は毎日、朝9時から19時まで学校で箱詰め状態で勉強。国家試験が近くなると自宅に帰宅してからも勉強をしている方がほとんどでした。
それでも、3割は不合格です。
難易度はやや高いと知ったうえで作業療法士を目指すことをおススメします。
作業療法士になるには学費がいくらいるのか
作業療法士になるには、必ず養成校に通う必要があると説明しました。
では、作業療法士の養成校は学費がいくらかかるのでしょうか?
養成校の種類 | 学費(年間) |
4年制専門学校 | 117~115万 |
3年生専門学校 | 120~136万 |
私立大学 | 168~178万 |
国立大学 | 53万5800円 |
公立大学 | 50~60円 |
上記の表を見ていただければわかる通り、作業療法士の養成校の学費は国立大学や公立大学で50万円前後であるのに対して、私立大学では170万前後とかなり大きな違いがあります。
個人の学力によりますが、金銭面を考えるのであれば国公立大学への進学を考慮した方がよさそうです。
作業療法士になるために必要なこと
作業療法になるためには、作業療法士の養成所に入学し、国家資格を取得すればよいということです。
しかし、人間には向き不向きというものがあります。作業療法士になるために必要なこととはどのようなことなのでしょうか?
作業療法士になるために必要なスキルや性格は以下の3つです。
- 根気強さ
- 柔軟な発想力
- 生活を見通す力
作業療法士は、様々な個性や性格の患者さんと関わっていく必要があります。そして、患者さん一人ひとりに合ったリハビリテーションを提供していく必要があるのです。
そのため、諦めない根気強さやリハビリを考えるための柔軟な発想。そして、生活をイメージして訓練をする想像力や計画性が必要であるといえるでしょう。
もちろん、作業療法士としての専門的な知識が必要なことは言うまでもないのですが、発想力などの自分の力を生かせる仕事といえるでしょう。
作業療法士になるためのまとめ
作業療法士になるためには、主婦・会社員・高校生・大学生に関わらず、作業療法士の養成校を卒業して国家資格を取得する必要があります。
また、夜間の専門学校は存在するものの通信講座等はなく、働きながら作業療法士となるのは茨の道でしょう。
例え、毎日の授業や定期試験をクリアしたとしても、実習は日中に受ける必要があるということも大きな壁です。
学費に関しても、少ない金額ではないので作業療法士になるためには、金銭面や時間面での繊細な計画を立ててから行動に移すようにしましょう。