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作業療法士は、作業を用いて日常生活動作の能力の向上を支援するリハビリテーション職です。
作業療法士(OT)は国家資格でもあり、資格を取ることで現在のところは就職に困ることはないといってよい職業です。
しかし、それは選ばなければ職はあるということであり、すべての職場が優遇された条件で求人を募集しているわけではありません。
作業療法士は医療職であり国家資格のため、周囲からは高給取りといわれることも少なくはありません。しかし、実際のところ作業療法士の給料は日本全体の平均給与と比較しても低く、正直割の良い仕事とは言えません。
さらに、職場によって昇給や休日数・残業時間等にかなりの差があります。
このことから、作業療法士として働いていくためには少しでも、良い条件の職場で働く必要があるのです。
今回は作業療法士の方がより良い職場で働くために、就職先の適切な選び方を現役の作業療法士である私が解説していきます。
【間違うと危険】作業療法士の就職先の選び方を現役OTがアドバイス
作業療法士が働く場所で選ぶ
まず、作業療法士が働く場所は主に以下の3つに分かれます。
それぞれに特徴があり、働き方が大きく異なりますので自分に合う働く場所を選択する必要があります。
医療施設
最も作業療法士が活躍しているのは、医療施設でしょう。医療施設には、病院やクリニックが存在して、病床数の違いで呼び名が異なります。
さらに、こういった医療施設は以下のように分類されます。
領域:身体・精神・発達
分類:急性期・回復期・維持期
身体領域
身体領域の特徴としては、心大血管・脳血管・整形など自分の好きな領域を選んで働くことができるということです。
どれか一つのスペシャリストになりたいと考える方は、断然身体領域を選ぶべきでしょう。
しかし、病院によっては一日に診なければならない患者が多く、毎日が残業という場合も多いようです。さらに、勉強会等も多い傾向にあり本当に作業療法士という仕事が好きでないかぎり仕事を続けていくのが嫌になってしまうかもしれません。
精神領域
精神領域での作業療法の最も大きな特徴は、多くが集団でのリハビリテーションを行うということでしょう。
多くの患者さんを一度のレクリエーションなどでリハビリをする機会があり、発想力と柔軟な対応が求められる領域です。
しかし、精神科に努めてうつ病になってしまったという方も少なくないため、強いメンタルを必要とする領域です。
また、身体領域などと比較すると求人数も少ないため精神科に希望通り入職できるかはあなたの行動次第です。
キャリアアドバイザーが求人を紹介してくれる、転職エージェントであればレアな求人の紹介もあるため精神科に入職できる可能性も高くなりますよ。
>>【現役OTが選ぶ】作業療法士におすすめの転職エージェントランキング
発達障害
発達障害は子供のリハビリを行わなければなりません。発達障害の知識はもちろんのこと。子供相手となりため危険が伴わないための安全対策や子供に集中してもらうためのアイデアが必要となります。
子供が好きであるという方にはおすすめな領域ですが、精神科と同様に求人数は少なめですのでエージェント等を利用して積極的な行動を示す必要があるでしょう。
急性期
急性期の特徴としては、受傷して間もない方のリハビリをしなければならないということもあり、リスク管理が重要となります。
そして、スキルアップする環境としても申し分ありません。
急性期では入退院が多く、数多くの患者さんを短期間で診ることができるため、新卒で初めての就職という方にもおすすめできます。
上記の特徴から、書類作成など忙しさはありますのでゆったりとした働き方を目指したいという方には向いていないかもしれませんね。
回復期
回復期はその名の通り、急性期を脱して回復していく段階の患者をリハビリしていきます。
リハビリをする上で急性期と大きく異なるのは、入院期間の長さです。入院期間は回復期では長い傾向にあり、一人の患者の経過を長期間にわたって診ていくことができます。
回復期では患者さんの能力も上がりやすく、リハビリの効果を実感できる場合がおおいため、自分の自身につなげたいという方や達成感がほしいという方には向いています。
維持期
維持期の大きな特徴としては、ベッドサイドでのリハビリテーションが中心になることが多いということです。
維持期に関しては、リハビリテーションの効果を感じることは少なく達成感ややりがいがほしいという方にとっては働きずらい環境となるでしょう。
しかし、自分のペースで仕事をすることができますので、ゆったりと患者さんに向き合いたいという方にはおすすめできますよ。
介護施設
作業療法士は、病院などの医療施設のほかにも介護施設で活躍している人が少なくありません。
介護施設には、介護老人保健施設やサービス付き高齢住宅、特別養護老人ホーム、デイサービス等があります。
介護施設で働くメリットとしては、患者さんの生活に近いリハビリテーションが可能となるということです。介護施設に入所もしくは通所されている患者さんは、病院に入院している状態ではなく、普段通りに生活をされている状態です。
そのため、生活での困りごとなどをダイレクトに聞くことができ、介入することができます。日常生活動作を専門とする作業療法士にとっては専門性を発揮できる場であるといえるでしょう。
一般企業
一般企業で働く作業療法士も存在しますが、こちらは少数です。
医療機器や介護用品の研究など、専門性を生かした一般企業での働き方をすることがあります。
しかし、求人数も少なく一般企業で働くために作業療法士になるというのは現実的ではないでしょう。
作業療法士が就職先を選ぶ6つのポイント
作業療法士が就職先を選ぶにあたって、上記で紹介した働きたい場所を選択することが第一なのですが、それだけでは理想の就職先を選択することはできません。
以下の6ポイントを押さえて就職先の選択をしてみましょう。
作業療法士が就職先を選ぶための6のポイント
- 自分に合った働き方をできる場所であるか
- 残業の時間数
- 休日数
- 昇給があるのか
- スキルアップのための環境は整っているか
- 人間関係
自分に合った働き方をできる場所であるか
まず一つ目に重要となるのは、自分の性格や行いたい働き方をできるかという点です。
上記で紹介した、働く場所によっても忙しかったりゆったりしていたりと違いはありますが、同様の急性期であったとしても、病院の規模や働き方によっては一日に診る患者さんの数にも大きな違いがあります。
そのような点から考えても、一日何人の患者を診て、書類やカルテ記載の時間が就業時間内に確保できるのかという点も確認をしておいたほうが良いでしょう。
残業の時間数
残業の時間数に関しても、就業場所によって大きく異なります。
毎日、20時まで残業をしなければならない場所もありますし、残業が全くなく17時に帰宅できる職場も存在します。
毎日3時間ほどの残業時間の違いがあるだけで、生活のリズムや仕事終わりのプライベートの充実度も異なってきます。
求人に記載してある残業時間だけでなく、実際の残業時間を就職場所に確認するのは必須といってよいでしょう。併せて残業手当の有無についても確認すると良いですね。
休日数
休日数においてもライフバランスを考えるうえでは重要となります。
もちろん、作業療法士の仕事が好きであり、毎日でも働きたいと考えているのであれば心配はいらないのですが、作業療法士は場所によって休日数が大きく異なりますのでプライベートの時間が多くほしいのであれば、しっかりと考えるようにしましょう。
また、有給休暇においても職場によっては取りやすい場所と取りにくい場所があります。併せて、有給の取得状況を確認するようにしておきましょう。
昇給があるのか
作業療法士として働いていくには、平均の障害年収よりも給料が低いということ覚悟して働く必要があります。もちろん場所によっては、かなり給料が高い場合もあるのですがかなりの少数派です。
そして、作業療法士の給料の罠としては、昇給が少ないということです。
日本の企業における、平均の昇給額は2%前後。金額に換算すると6000円前後といわれています。
しかし、求人を確認してみると多くは1000~2000円の昇給実績となっており、平均の昇給を貰えている作業療法士はごく稀でしょう。
ただ、昇給が少ない場所ばかりではなく5000円の昇給がある職場などもありますので目先の給料のみにとらわれず昇給ありきで職場選択を行いましょう。
スキルアップのための環境は整っているか
作業療法士において、重要な要素となるのがスキルアップ。生涯学習をしていかなければならない作業療法士にとってスキルアップ可能な環境が整っているのかは重要な職場選択において重要な指標になりますよね。
例えば、場所によっては勉強会や学会費を全額負担してくれる職場もあります。また、資格の取得で昇給するシステムを設けている場所も存在します。
このようなスキルアップできる環境を整備してくれているのかという点においても十分に考慮しましょう。
ただ、スキルアップにおいては重要視するかしないのか人によって異なりますので、不要だと考える人はこのポイントを除外して、就職先を選択しても良いでしょう。
人間関係
そして最後に、私が最も重要と考えているのが人間関係です。
私が作業療法士として、他療法士等と関わってきて感じることですがリハビリ職・その他医療職には曲者が多いです。
自身が努力して技術や知識を得てきた。辛い実習を乗り越えてきたと自負している方が多いので同様の努力を部下にも要求する方が非常に多いです。
もちろん、医療職である限り患者さんに迷惑をかけないよう知識を身に着けることが重要となるのですが、仕事をするために生きているわけではありません。プライベートを充実させるために仕事をしているんだという人も多くいるでしょう。
時間外の労働を強いられることはないか。プライベートを障害されることがないかなども人間を見て考慮しましょう。
人間関係が複雑であることによって、うつ病になってしまった人は多くいます。最も重要視するべきポイントとして考えてください。
私も一年目は人間関係がうまくいかずに苦しみました。辞めたいと感じた時の対処法をいかに記載していますので参考にしてください。
>>【苦痛の毎日】作業療法士新卒1年目がやめたいと思ったときの対処法
作業療法士が理想の職場に就職するための方法
最後に、上記のようなポイントを押さえた就職先をどのように探していくのか。理想の職場に就職するための方法を解説していきます。
その方法は、以下の2つです。
作業療法士が理想の職場に就職するための方法
- 転職エージェントを利用する
- 就職前に見学をする
1.転職エージェントを利用する
まず、一番大事なのは多くの求人を見て理想の条件の職場を探すということです。
求人を探す方法としては、もちろんハローワークや求人サイトを利用しなければなりませんし、ほとんどの方がこの方法で求人探しを行っているでしょう。
しかし、それだけでは正直不十分です。
作業療法士の募集は少なくはないのですが、ハローワークとにらめっこしていても同様の求人は常にあるが、新規で条件の良い求人が出てこないという場合がほとんどなのです。
現在、転職のために求人を見ている人も同様のことを感じている方が多いのではないでしょうか?
そこで、周囲の求人を探している人と差をつけるために利用するべきなのが『転職エージェント』です。
転職エージェントというのは、専門の知識を持ったキャリアアドバイザーという人があなたに合った求人を紹介してくれるサービスです。もちろん利用は無料なのですが、ハローワークにはない求人が掲載されていることもあり、本気で良い職場を見つけたいというのであれば登録必須です。
多くの求人を見るためにも必ず登録しておきましょう。ちなみに、私が最もおすすめするエージェントの利用の仕方は『PT・OT・STワーカー』と『レバウェルリハビリ(旧リハのお仕事)』の同時利用です。
>>【現役OTが選ぶ】作業療法士におすすめの転職エージェントランキング
2.就職前に見学をする
ハローワークや転職エージェントを利用して、気になる求人を見つけることができたら必ず、見学をお願いしましょう。
求人の条件に書いている情報だけでは、その職場が本当に良い職場なのかはわかりません。実際に見学をして気になっている点を質問してみることによって、自分の性格や経験に合う職場なのかを判断しましょう。
そして、上司が高圧的ではないのか。雰囲気は明るいのか緊張感があるのかなども見学で確認することができます。
求人情報にはない情報を見学でしっかりと確認してきましょう。
作業療法士の就職先の選び方の終わりに
ここまで、作業療法士が就職先を選択する際のポイントや方法について解説してきました。
私自身も作業療法士として、働いていますが年120日の休日・残業なし・年休が取りやすいといった条件下で働くことができています。
療法士によって理想の働き方は異なりますが、スキルアップをするのか。それとも、ライフバランスを重要視して家庭の時間や趣味の時間を増やすのかという自分なりのこだわりを持って就職活動を行うようにしましょう。
自分に合っていない職場での就業となるとストレスも溜まります。まずは、エージェントを利用して希望の条件の求人を探してみましょう。
また、転職を考えている方は転職時期も重要となりますので、適切なタイミングを知った上での行動をお勧めします。
>> 【見れば得する】作業療法士の転職時期は何年目の何月がベスト?