作業療法士の就職は本当に厳しいのか【現役OTの考察】

作業療法士の就職は本当に厳しいのか

作業療法士の就職は厳しいという声を聞くことがあります。

確かに、ここ数年は作業療法士の有資格者が年間6000人ほどのペースで増加していることもあり、今後も作業療法士の数が多くなっていくのは間違いないでしょう。

さらに、作業療法士の平均年齢は2020年時点で33.9歳と労働人口における平均年齢(男37.0歳・女33.9歳)と比較すると若干低く、定年者が資格取得者を上回ることは近い将来では考えにくでしょう。

しかし、作業療法士の就職は厳しいかといわれると、厳しくはないと私は思います。その理由もいくつかあるのですが、記事の内容にて紹介します。

今回は、作業療法士の就職は本当に厳しいのか。そして、今後の需要と供給も踏まえて作業療法士の就職状況はどのように変化するのかも考察・解説していきます。

作業療法士の将来性についてもまとめていますので参考にしてください。

関連記事:>>【飽和状態】作業療法士に将来性はないのか現役OTが分析

 

作業療法士の就職は本当に厳しいのかを【現役OTの考察】

作業療法士の就職が厳しいといわれている理由

作業療法士の就職が厳しいといわれている理由

そもそも、なぜ作業療法士の就職が厳しいといわれているのでしょうか?

作業療法士の就職が厳しいといわれている理由は以下の2つです。

作業療法士の就職が厳しいといわれている理由

  1. 作業療法士の有資格者が増加し続けている
  2. 高齢者は2042年以降減少する

 

1.作業療法士の有資格者が増加し続けている

作業療法士の有資格者が増加し続けていることが、作業療法士の就職が厳しいといわれる最も大きな理由でしょう。

2019年に作業療法士協会が調査した統計情報によると作業療法士の数は、94255人。ここ数年は毎年5000~6000人ほどのペースで資格取得者が増加してきています。(参考:2019年度日本作業療法士協会会員統計資料

このままの状況で作業療法士が増加し続けると、需要と供給のバランスが崩れ作業療法士の就職が厳しきなってしまう。

需要を供給が上回ることによって、作業療法士の就職が厳しくなると考える人が多いようです。

 

2.高齢者は2042年以降減少する

作業療法士は、高齢者のリハビリをすることが非常に多い仕事です。

日本の高齢者は2042年まで増加し続け、その後は減少していくと内閣府が予測しています。

(参考:内閣府:高齢者の現状と将来像

先ほど、作業療法士の有資格者は増加の一途をたどっていると説明しました。

作業療法士は増加し、2042年以降の高齢者は減少していくとなると、供給が大幅に増加し需要が減少してしまうというのは容易に想像できますね。

つまり、2042年以降に作業療法士の就職が厳しくなるという予測がたっていることも一つの理由でしょう。

作業療法士はやめとけと言われる理由としても、高齢者の数と作業療法士の数の関係が挙げられています。

関連記事:作業療法士はやめとけと言われる理由を現役OTが考えてみた

 

作業療法士の就職は厳しくない

 

OTである私が、考察してみた結果とこれまでの経験からすると作業療法士の就職は厳しくありません。

作業療法士が増加していること。高齢者が2042年以降減少していくことが作業療法士の就職を厳しくさせているとの見方があります。

その一方で、作業療法士の将来は明るく、今後も需要があるとの見方もあります。

作業療法士の就職が厳しくないと言い切る理由は以下の3つです。

作業療法士の就職が厳しくない理由

  1. 2042年までは高齢者からの需要が高まる
  2. 発達障害・精神障害の領域での需要が高まる
  3. 作業療法士は人工知能(AI)に置き換えることが難しい

作業療法士の就職は難しくない

1.2042年までは高齢者からの需要が高まる

2042年までは高齢者が増加し続け、3,677万人まで増加すると予測されています。

もちろん、作業療法士の高齢者からの需要はそれまで高まり続けますし、2042年を超えたからといって急激に需要が減少するわけではありません。

そもそも、現在作業療法士の就職は厳しくありません。

令和元年の作業療法士の有効求人倍率は4.52倍。(参考:バイトルPROMAGAZIN作業療法士

全体の有効求人倍率1.55倍と比較するとかなり高いことが分かります。

これでは、作業療法士の就職が厳しいとは言えません。今後、2042年以降に高齢者からの需要が減少してしまうことは、作業療法士の就職に影響するかとは思いますが、しばらくの間、作業療法士が就職難に陥ることはなさそうです。

2.発達障害・精神障害の領域での需要が高まる

作業療法士は、発達障害や精神障害の領域からの需要もあります。そして、発達障害や精神障害からの需要は今後も高まり続けることが予測されるのです。

つまり、高齢者の需要が低下する2024年以降も他領域からの需要が望める仕事であるということですね。

発達・精神分野からの需要も大きく望めるというのは、理学療法士との大きな違いといえるでしょう。

3.作業療法士は人工知能(AI)に置き換えることが難しい

作業療法士は、人工知能に置き換えられない職業とされています。

英オックスフォード大学の論文によると、AIに置き換えられない職種として6位にoccupational-therapist(作業療法士)と記載があるのです。

今後、多くの職業がAIに置き換えられるとされており、『AIと共存する未来』という研究資料では49%もの仕事が人工知能に置き換えることができるとされています。

その中でも、人工知能に置き換えることが難しい作業療法士という仕事は、今後も需要が低下することなく、安定して就職できる職種であるといえるでしょう。

 

作業療法士の就職は厳しくないがコツが必要

作業療法士の就職にはコツが必要

作業療法士の就職は現在のところ厳しくありませんし、今後も一定の需要が望めます。

しかし、作業療法士は給料が高いとは言えず金銭的な不安がある仕事といえるでしょう。

そして、就職先によっても給料に大きな差があるのも事実です。特に、年間の昇給に関しては職場によって大きな差があります。

就職先を選択する際のポイントとしては以下に詳しく解説していますので、参考にしてください。

関連記事:>>【間違うと危険】作業療法士の就職先の選び方を現役OTがアドバイス

 

少しでも良い条件の職場に就職して、将来のことを考えるには就職する際に以下の2つの方法をとりましょう。

作業療法士が理想の職場に就職するための方法

  1. 転職エージェントを利用する
  2. 就職前に見学をする

 

1.転職エージェントを利用する

作業療法士の転職エージェントを利用することが、作業療法士の転職や就職を有利にします。

有利にする理由としては、より多くの求人を見ることができ、選択肢が増えるからです。

特に、精神科などの求人は出回ることが少なく、ハローワーク等に行っても見つけることが難しいでしょう。

しかし、転職エージェントではハローワークにはないレアな求人が非公開求人として存在しますので、条件の良い求人も探しやすくなるのです。

利用は無料ですので、いくつか併用すると良い求人が見つかりやすくなりますよ。

作業療法士におすすめの転職エージェント5選

 

1.PT・OT・STワーカー

求人数がもっとも多く、未登録なら最初に登録すべきエージェント

 

2.レバウェルリハビリ(旧リハのお仕事)

好待遇・好条件の非公開求人が多いので他のエージェントとの併用で登録必須◎

 

3.PT・OTキャリアナビ

電話・メール・LINEなど多彩な連絡手段で気軽に、紹介してもらえる

 

4.マイナビコメディカル

大手マイナビのエージェント。信頼性トップレベルで安心の転職ができる

 

5.PT・OT人材バンク

介護施設の求人も豊富で全体的な求人数もトップクラス

関連記事:>>【現役OTが選ぶ】作業療法士におすすめの転職エージェントランキング

 

2.就職前に見学する

見学することも、就職を成功させるための重要なポイントとなります。

就職してから、思っていた雰囲気と違うとなると転職するのにも手間がかかりますし、心を病んでしまう可能性も少なからずあります。

職場選びに失敗しないように、まずは見学をして気になることは質問をしておくようにしましょう。

私も、職場選びに失敗して1年目から辞めたいと思い苦しみました。

福利厚生など目に見える条件のほかにも、人間や環境を見たうえで就職を検討しましょう。

関連記事:>>【苦痛の毎日】作業療法士新卒1年目がやめたいと思ったときの対処法

 

作業療法士の就職は厳しくないが就職後が重要

作業療法士の就職は厳しくありませんが、就職後の対応は重要となります。

作業療法士として、今後も生きていこうと考えるのであれば、将来的に他の作業療法士に負けないスキルを身に着けたり、他の収益源も確保する必要があります。

 

作業療法士としての価値を身に着ける

作業療法士の就職は厳しくありませんが、今後作業療法士が増加していくことは確かです。

増加した作業療法士の中で求められる人材にならなければ、役職になることは難しく、転職を考えた際も転職を成功させることが困難になる可能性が高くなります。

作業療法士として年収をアップさせて、自分の希望としている職場への転職を成功させるには、作業療法士として多くのスキルや資格を身に着けて、作業療法士としての価値を身につけましょう。

 

作業療法士以外の収入を得る

作業療法士を続けていくにあたって、作業療法士としてのスキルを向上させることは重要ですが、スキルアップにとらわれない生き方をしたいという方も少なからずいるでしょう。

しかし、作業療法士の給料だけで生活するとなると、不可能なわけではありませんが、贅沢を我慢したり子供の教育費を貯蓄したりと、工夫をする必要があります。

また、老後の資金を確保するのも一苦労でしょう。

その問題を解決するために、作業療法士以外の収入を得ることも非常におすすめです。

訪問リハビリや発達障害のリハビリをする非常勤などあります。さらに、自分の趣味を副業にするライティングやデザインの副業など、選択肢は様々です。

老後2000万という時代に、すこしでも副収入を得ることは非常に有効な手段といえるでしょう。

関連記事:作業療法士におすすめの副業10選!在宅で可能なダブルワークも紹介

 

作業療法士の就職は厳しいのか【まとめ】

まとめると、作業療法士の就職は厳しくありません。

そして、今後も一定の需要が望めるでしょう。しかし、作業療法士の給料は低いので就職してからは、作業療法士としての能力を高めたり、副業をするなどの方法をとる必要があります。

資格取得や転職など、自分の価値を高めていきましょう。