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作業療法士を志している人が担任の先生に、「作業療法士なんてやめとけ」といわれたという知恵袋を目にしました。
作業療法士は、国家試験に合格し資格を取らなければなることができない仕事です。やりがいはありますし、周囲の役に立っていると感じるため胸を張って作業療法士だといえるような素敵な職業であると私は感じます。
しかし、最近作業療法士はやめとけと周囲に言われることも多いようです。
私は、作業療法士として現役で働いているのですが、確かに作業療法士を辞めたくなったこともあります。
さらに、私の子供が作業療法士になると決断しても一度考えさせるかもしれません。
この記事では、「作業療法士なんてやめとけ」といわれる理由について現役OTの私が、真剣に考えてみます。
作業療法士はやめとけと言われる理由を現役OTが考えてみた
作業療法士はやめとけと言われる理由
早速ですが、作業療法士はやめとけと言われる理由を現役OTである私が解説していきます。
作業療法士はやめとけと言われる理由7つ
- 仕事内容がハード
- 知識・技術を生涯高める必要がある
- 給料が安い
- 国家試験の勉強がきつい
- 人間関係の構築が難しい
- 理学療法士・言語聴覚士との境が曖昧
- リハビリのアイデア・工夫が必要
正直、紹介した作業療法士はやめとけと言われる理由は、私が現役OTとして活動している現在も感じていることです。
この理由を見ると作業療法士はやめとけと言われる理由に納得できそうですよね。
では、作業療法士はやめとけと言われる理由7つについて一つ一つ解説していきます。
1.仕事内容がハード
作業療法士の仕事内容は、かなりハードです。
屋外で体を使った業務を行っている大工や土木の方と比較すると、身体的なきつさは少ないと感じますが、患者を直さないといけないというプレッシャーや転倒するリスクなど常に気を張っておく必要があり、ひと時も気を抜けないため精神的にもハードなのが作業療法士です。
私の働いている病院での業務は比較的ゆったりとしている方なのですが、それでも以下のようにびっしりと業務が詰まっています。
時間 |
業務内容 |
8:00 | 出勤・患者のカルテチェック・書類作成 |
8:30 | 朝礼 |
8:40~12:00 | リハビリ業務 |
12:00~13:00 | 食事介助・食事に対しての作業療法介入 |
13:00~14:00 | 休憩 |
14:00~17:30 | リハビリ業務・掃除 |
17:30~ | 書類業務完了してなければ残業 |
出勤から退社までびっしりと業務が詰まっていることが分かりますね。
さらに、作業療法士はリハビリだけでなく、リハビリの計画書などの書類を作成しなければならないため、実際の業務内容は思ったよりも多いということになるのです。
作業療法士の業務内容で紹介していること以外にも、就業時間終了後に勉強会があったり、カンファレンスや話し合いを行ったりなど様々な業務が、存在しますので一日の流れでは余裕がないほど、ハードな仕事であるといえます。
2.知識・技術を生涯高める必要がある
作業療法士は生涯勉強をして、医療的知識や治療の技術を身に着ける必要がある職業です。
作業療法を受けに来る患者さんは、少しでも技術や知識の豊富なリハビリを受けたいと思いますし、作業療法士は、患者さんを少しでも良くするために動かなければなりません。
そのためには、日々進歩している医療の技術を作業療法士でいる限り、身に着けていく必要があるのです。
もし、知識や技術を高める努力を怠ると、患者さんとの信頼関係を築くことができなかったり、他の作業療法士からの目も厳しく向いてきます。
国家試験取得のために、必死に勉強をして働き出してもまた勉強をしなければならない。
作業療法士として働いている限り、永遠に勉強と向き合う必要があるというのは、私としても作業療法士はやめとけと言いたくなる理由の一つです。
3.国家試験の勉強がきつい
作業療法士になるためには、国家資格を取得する必要があるのですが、作業療法士の国家試験の勉強はきついです。
作業療法士の国家資格を取るためには、4年の大学もしくは3年の専門学校に通う必要があります。
ちなみに、私は4年制の大学に行きましたが、高校生の時に思っていた人生の夏休みという大学生のイメージとはかけ離れていたのです。
1年生の時は、授業の数にも余裕があり遊ぶ時間も豊富です。
しかし、2年以降は授業の数も多く、定期試験も難易度が高くなるため留年する人の数が多くなります。
そして、3年の春休みから国家試験までは毎日必死で勉強を続けなければならないのです。
3年の春休みから国家試験までの1日のスケジュールは以下の通りです。もちろん、休憩が長くなったり勉強に身が入っていなかった時期や時間もありましたが、学校に缶詰状態で勉強をしていました。
時間 |
スケジュール |
8:00~9:00 | 起床・準備・移動 |
9:00~12:00 | 学校にて勉強 |
12:00~13:00 | 休憩 |
13:00~19:00 | ひたすら勉強 |
19:30 | 帰宅 |
19:30~21:00 | 食事・風呂 |
21:00~0:00 | 勉強 |
どうでしょうか。上記のスケジュールをこなすのは正直地獄ですよね。
しかし、大げさではなく、国家試験前半年くらいは毎日、起きて勉強をして眠るだけの日々を過ごしていました。
学校の教室の雰囲気はぴりついており、毎日が苦痛なのです。
しかも、普通の大学に行った友人が就職活動を終えて、バイトと遊びに明け暮れている時期に勉強漬けの毎日を送るというのは、作業療法士を選んだことを公開する原因になりました。
国家試験の勉強がきついこともあり、私は勉強嫌いなら作業療法士はやめとけと言いたいです。
4.給料が安い
作業療法士はやめとけという理由には給与が低いという理由も含まれます。
作業療法士はやめとけと言われる理由1~3では、作業療法士の仕事がハードであり勉強も長期で続けていかなければならないということを説明しました。
作業療法士は多大な努力をしなければならない仕事であるにも関わらず、給料に関しては安いという何ともやりがい搾取な職業なのです。
表に作業療法士の給与をまとめてみました。
作業療法士の給与 |
|
平均年収 | 408万 |
平均所定内給与額 | 28.1万 |
年間賞与及びその他特別給与額 | 70.2万 |
全国の平均年収は国税庁によると461万円(国税庁)であるにもかかわらず、作業療法士の平均年収は408万円。
かなり大きな開きがあるということが分かりますね。
必死に勉強をして国家試験に合格したにも関わらず、低い年収ですと作業療法士なんてやめた方が良いと思いますよね。
5.人間関係の構築が難しい
私が、作業療法士になって常々感じていることは、人間関係の構築が難しいということです。
なぜ、人間関係の構築が難しいのかというと作業療法士は、同職種である作業療法士だけでなくその他の医療職(医者・看護師・その他コメディカル)や患者など様々な特徴がある人と関わらなければならないのです。
特に、医者は癖が強い人が多かったり、直属の上司である作業療法士や理学療法士も勉強に対して厳しい人が多く、人間関係が嫌になってしまう人も少なくありません。
6.理学療法士・言語聴覚士との境が曖昧
作業療法士というのは、理学療法士と言語聴覚士が学ぶことを両方学びます。
例えば、理学療法士のように筋肉や身体機能のことを詳しく学びますし、言語聴覚士のように高次脳機能や摂食についても学びます。
両方の特徴を持つ作業療法士は、とても万能でありオールマイティな職業ではあるのですが、理学療法士や言語聴覚士との境が曖昧になりやすい状態にあります。
特に、理学療法士とは混合されることが多く、働く職場によっては理学療法士と全く同じ仕事をしなければならないということも少なくありません。
私の働く職場でも、理学療法士と同様の仕事を求められます。
さらに、理学療法士の仕事のほかに作業療法士ならではの作業活動や摂食に対する介入なども加わるため、その他職種と比較して忙しくなっているのです。
作業療法士の役割が曖昧であり認知度が低いことも、作業療法士はやめとけと言われる理由の一つとなっていると感じます。
7.リハビリのアイデア・工夫が必要
作業療法士の仕事はアイデアと工夫が必要です。
自分なりの考えやアイデアを生み出すことが苦手な方は、作業療法士になることはやめておいた方が良いでしょう。
患者さんに対しては、一人ひとりに個性があり得意なことや不得意なことがあります。
そのため、同じ障害を持っている人でも異なるリハビリをする必要があるのです。工場勤務のように毎日流れ作業ではなく、個別のリハビリをするというのは労力をかなり使うものです。
アイデアが必要になるということに関しても、作業療法士が難しい要因となっており、やめておけという反対意見が出る要因の一つとなっているでしょう。
「作業療法士はやめとけ」という意見が全てではない
作業療法士はやめとけという意見に対して、その理由をここまでは述べましたが、作業療法士が必ずしもやめておいた方が良い職業なのかというとそうではありません。
私も作業療法士をやっていてよかったなと感じることもありますし、現在も作業療法士を続けているのにはそれなりの訳があります。
私が、作業療法士を辞めずに続けていてよかったと感じるのは以下の点です。
作業療法士をやめなくてよかった点
- 資格を持っているため安心感がある
- プライベートが充実している
- 高齢者と関わり様々な経験を聞ける
- 自分の身体についても気がけるようになった
1.資格を持っているため安心感がある
作業療法士は、国家資格であり就職先も豊富にあります。ですので、仕事がないという事態にならず、安心感のある職業といえるでしょう。
また、もし作業療法士を一度辞めることになったとしても、仕事がなくなった際には作業療法士として、仕事を再開できる可能性も非常に高いです。
ですので、他に夢があるが作業療法士を目指し、養成校に通っているという方などは、是非作業療法士の資格を取得した後に行動するようにしましょう。
作業療法士の国家資格は、人生の大きな保険という意味でも非常に役に立ちますよ。
2.プライベートが充実している
私は、作業療法士を現在も続けているのですが、辞めたいと思ったことが何回もあります。
特に、一年目においては毎日が苦痛の連続でした。以下の記事に私の体験も踏まえて辞めたいと思った際の対処法をまとめています。
>>【苦痛の毎日】作業療法士新卒1年目がやめたいと思ったときの対処法
しかし、何度も辞めたいと感じていた作業療法士をなぜ現在も続けているのか。それは、プライベートが充実しているからという理由です。
というのも、現在作業療法士として働いている職場は年間休日数も120日あり残業もありません。
つまり、プライベートを重要視する方にとっては非常に働きやすい職場なのです。
休日数が多く残業なしの職場は、作業療法士の働く場所にはかなり多くあります。働きやすさを考えると作業療法士は高確率でライフバランスを整えることができる職種といえます。
3.高齢者と関わり様々な経験を聞ける
辞めなくてよかったなと感じる一つの理由として、高齢者と会話をすることが楽しいということが挙げられます。
精神科や発達などの一部の領域では、高齢者と関わる機会はありませんが、作業療法士は目上の方と関わる機会が非常に多いのです。
高齢者の経験や考え方は、生きる上で非常に役に立つものばかりです。
目上の方の役に立つ話を聞けるというだけでも、作業療法士をやっていてよかったと感じることがあります。
4.自分の身体についても気がけるようになった
作業療法士をしていると、患者の身体のことだけではなく、自分の身体のことも気がけるようになります。
例えば、認知症の予防に食の変化が生じたり、毎日運動する習慣ができたりなど健康に対して気を遣うことが私は増えました。
作業療法士をしているだけで健康を維持するための方法などが身に就くので、自分の身体のためにも作業療法士をしていてよかったなと感じます。
『作業療法士はやめとけ』という声に対するまとめ
作業療法士はやめとけと言われることがあり、確かに作業療法士の仕事に就くことはデメリットが非常に多いです。
私も、何度も作業療法士を辞めて他の仕事をしようと考えました。
しかし、現在も続けているのはそれなりの訳があります。特に、残業がなく休日数が多いというのは私の中で非常に大きなメリットとなっており、異業種に転職しない理由の一つです。
現在作業療法士を目指している人は、作業療法士になるという選択肢だけではないということを知ってほしいです。
作業療法士の免許を取得すれば、安心感のある大きな保険になります。
異業種になることもできます。
>> 【異業種転職の末路】作業療法士が一般企業に転職できるのか
作業療法士のデメリットのみを見るのではなく、一度メリットも見て作業療法士になるかどうかを検討してみてください。