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「作業療法士の仕事が楽しくない」「毎日同じことの繰り返しでつまらない」。そう感じながら働いている作業療法士は、決して少なくありません。
私は急性期で働きながら、障害のある方の就労支援にも関わっている現役の作業療法士です。私も1年目のころ、自分なりに考えた治療やプランを出しても、正解は一つしかないかのように直されることが続き、作業療法の面白さを見失いかけた時期がありました。今思えば、つまらなかったのは作業療法そのものではなく、自分で考えて試せない働き方でした。
この記事では、作業療法士が仕事を楽しくないと感じる理由を整理し、原因ごとに次にやるべきことを紹介します。
この記事の結論
- 「楽しくない」の原因は、仕事内容・職場の環境・待遇・自分の状態のどれかに分けられる
- 多くは作業療法そのものではなく、働く場所や領域を変えることで解決できる
- まずは原因を書き出し、「今の職場で変えられること」と「職場を変えないと無理なこと」を分ける
この記事の目次
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作業療法士が楽しくないと感じる7つの理由
1. 自分で考えた作業療法ができない
上司の方針や職場のやり方が決まっていて、自分で考えた評価やアプローチを試せないと、仕事は「こなすもの」になってしまいます。作業療法は対象者ごとに工夫できる幅が大きい仕事なので、その余地がないと特につまらなく感じやすくなります。
2. 機能訓練ばかりで「作業」を扱えない
病院によっては、作業療法でも関節の動きや筋力の訓練が中心になり、食事や家事、仕事など、生活の中の「作業」を扱う時間が取れないことがあります。「これなら作業療法士でなくてもいいのでは」と感じるきっかけになります。
3. 成果が見えにくい
慢性期や維持期では、大きな変化が出にくく、関わりの成果を実感しにくいことがあります。急性期では、良くなる前に転院してしまい、その後を見届けられないこともあります。
4. 単位と記録に追われる
1日の単位数に追われ、記録や書類に時間を取られると、一人ひとりの対象者についてじっくり考える余裕がなくなります。
5. 人間関係・指導がつらい
厳しすぎる指導や、相談しにくい雰囲気の中では、仕事の面白さを感じる前に気持ちがすり減ってしまいます。
6. 給料が上がらない
経験を積んでも給料が大きく上がりにくいことは、やる気を保ちにくくする原因になります。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、理学療法士・作業療法士などの平均は年齢36.2歳で、年収に直すと約443.6万円です。
7. 疲れていて、何をしても楽しくない
仕事に限らず何をしても楽しくない、眠れない、休日も気分が晴れないという状態が続くときは、心身の不調のサインかもしれません。その場合は、仕事の工夫より先に休むことや、医療機関・相談窓口への相談を優先してください。
楽しくないと感じたときにやるべきこと
1. 何が楽しくないのかを書き出す
「仕事内容」「職場の人間関係」「給料や時間」「自分の体調」のどれが原因かを書き出してみましょう。原因によって、取るべき行動がまったく違います。
2. 今の職場で変えられることを試す
- 担当する対象者の領域や病棟の変更を相談する
- 生活の中の作業を取り入れた評価や練習を、一人の対象者から試してみる
- 関心のある分野の研修や学会に参加して、外の作業療法士とつながる
3. 働く領域を変える
作業療法士は働く領域の幅が広い職種です。病院の身体障害領域が合わなくても、ほかの領域でやりがいを見つける人は多くいます。
| 領域 | 特徴 |
|---|---|
| 訪問リハ・在宅 | 実際の生活の場で、作業そのものを扱いやすい |
| 精神科 | 作業や活動を通じた関わりが中心。対象者の生活や就労まで関われる |
| 発達・小児 | 遊びや学校生活を通じて子どもの成長に関わる。特別支援学校で働く作業療法士もいる |
| 就労支援 | 障害のある人の「働く」を支える。私自身が関わっている領域で、生活と仕事の両方を見られる面白さがある |
4. 職場を変える
自分で考えて試せない、人間関係がつらい、残業が多いといった悩みは、職場を変えるだけで解決することが少なくありません。同じ作業療法士でも、職場が変われば仕事の面白さは大きく変わります。
5. 副業や学び直しで視野を広げる
本業以外で専門性を生かす経験は、作業療法の面白さを思い出すきっかけにもなります(作業療法士の副業)。勤務先の副業の決まりは事前に確認しましょう。
作業療法士を辞める前に考えたいこと
「作業療法士という仕事がつまらない」のか、「今の職場での働き方がつまらない」のかを分けて考えることが大切です。後者であれば、資格を手放さなくても解決できます。辞めたいほどつらいときの考え方は作業療法士はやめとけと言われる理由の記事、一般企業への転職は異業種転職の記事でまとめています。
ほかの職場や領域の求人を見てみるだけでも、「こんな働き方もあるのか」と気持ちが軽くなることがあります。リハビリ職専門の転職エージェントでは、すぐに転職しなくても、領域を変えたいという相談ができます。サービスの違いはPTOTSTワーカーとPTOT人材バンクの比較でまとめています。
領域ごとのやりがいと大変さ
作業療法士は、働く領域によって仕事の中身が大きく変わります。今の領域で楽しさを感じられないなら、ほかの領域の特徴を知っておくだけでも、気持ちが少し軽くなります。
| 領域 | やりがい | 大変なところ |
|---|---|---|
| 急性期 | 変化が大きく、医学的な知識が深まる。早期から関われる | 入院期間が短く、その後を見届けにくい。リスク管理の緊張感が続く |
| 回復期 | できることが増えていく過程に寄り添える。家族とも関われる | 単位数が多くなりやすい。退院先の調整に追われることがある |
| 生活期・訪問 | 実際の生活の場で、作業そのものを扱える | 一人で判断する場面が多い。移動の負担がある |
| 精神科 | 作業や活動を通じて、生活や就労まで長く関われる | 変化がゆっくりで、成果が見えにくいことがある |
| 小児・発達 | 遊びや学校生活を通じて成長に関われる | 保護者や学校との連携が多く、求人が限られる地域もある |
| 就労支援 | 「働く」という作業を通じて、生活全体を支えられる | 医療機関と働き方が大きく違い、求人の探し方も異なる |
私は急性期で働きながら、障害のある方の就労支援にも関わっています。急性期では得られにくい「その人の生活が変わっていく手応え」を、就労支援の場では感じることができました。同じ資格でも、関わる場所によって面白さはまったく違います。
今の職場で「楽しい」を少しずつ取り戻す工夫
- 1人だけ、作業を取り入れてみる:担当の中から1人を選び、その人にとって大事な作業(料理、趣味、仕事など)を評価やプログラムに入れてみる
- うまくいったことを記録する:その日の「できるようになったこと」を一行だけメモに残す。成果が見えにくい領域ほど効果があります
- 外の作業療法士と話す:研修会や勉強会、オンラインのコミュニティで、ほかの職場の働き方を知る
- 小さく任せてもらう:家族指導、福祉用具の提案、自主練習のプリントづくりなど、自分の工夫が生かせる役割を相談してみる
PR求人票ではわからない職場の中身は、リハビリ職専門の転職エージェントの担当者に確かめてもらう方法もあります。PT・OT・STワーカーなら、「すぐ転職したいわけではない」という相談からでも使えます。
つらさが続くときの相談先
楽しくないという気持ちが、眠れない、食欲がない、休みの日も気分が晴れないといった状態につながっているときは、一人で抱え込まないでください。
- 職場の上司や、信頼できる先輩
- 職場の産業医や、健康管理の担当者(いる場合)
- かかりつけ医や、心療内科・精神科
- 厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の相談窓口
休むことは逃げではありません。体と心を立て直してから、働き方を考えても遅くはありません。
転職するか迷ったときの判断の目安
| 今の職場で続けてみてよい状態 | 職場を変えることを考えたい状態 |
|---|---|
|
|
職場を変えることを考えたい状態に当てはまるなら、すぐに辞めなくても、ほかの職場や領域の求人を見ておくと選択肢が広がります。
作業療法士の経験を生かせるほかの道
「作業療法士という仕事そのものが合わない」と感じたときも、資格や経験がむだになるわけではありません。作業療法士の経験は、次のような仕事でも生かせます。
- 福祉の仕事:就労支援、放課後等デイサービス、相談支援など。生活や作業を見る視点がそのまま役立ちます
- 福祉用具・住宅改修の仕事:福祉用具の販売・レンタルや、住宅改修の提案など。身体機能と生活環境を結びつけて考える力が生かせます
- 教育の仕事:養成校の教員や、特別支援学校などで子どもの発達を支える仕事
- 一般企業:医療・介護に関わる企業の営業や企画、人事の仕事など
一般企業への転職を考えている人は、作業療法士の異業種転職の記事もあわせて読んでみてください。いきなり辞めるのが不安なら、副業で別の仕事を試してみる方法もあります。
1年目・2年目で楽しくないのはおかしいこと?
まったくおかしくありません。1〜2年目は、覚えることが多く、評価やプログラムを自分で考える余裕もまだ少ない時期です。先輩に指摘されることも多く、楽しさより大変さが先に立つのは自然なことです。
ただし、厳しい指導が人格を否定するような言葉になっている、質問できる人がいない、残業や勉強会が当たり前になっている、という状態なら話は別です。それは「経験が浅いから楽しくない」のではなく、職場の環境の問題かもしれません。何がつらいのかを書き出し、相談できる人に話してみてください。
「楽しくない」を言葉にするための質問
原因を書き出すときに、次の質問に答えてみると整理しやすくなります。
- 作業療法士になろうと思ったとき、どんな場面で働く自分を想像していたか
- 今の仕事で、少しでも面白いと感じた瞬間はいつか
- 職場が変わっても同じことで悩みそうか、それとも今の職場だから悩んでいるのか
答えを書いてみると、変えたいのが仕事なのか職場なのかが見えてきます。
よくある質問
楽しくないまま続けていると、どうなりますか?
気持ちが乗らない状態が長く続くと、仕事の質が下がったと感じたり、自分を責めたりして、さらにつらくなることがあります。楽しさを取り戻す工夫をしても変わらない、体調にも影響が出ている、という場合は、働き方や職場を見直すサインだと考えてください。
作業療法士の仕事にやりがいを感じられる職場はどう探せばいいですか?
求人票の言葉だけでは分かりにくいので、見学で「1日の流れ」「担当する人数」「作業を取り入れたプログラムができる時間があるか」を聞いてみてください。実際に働いている作業療法士に、仕事で面白いと感じる瞬間を聞いてみるのもおすすめです。答え方から、その職場で大切にされていることが見えてきます。
作業療法士が楽しいと感じるのはどんなときですか?
対象者が「自分でできた」「家に帰れた」と喜ぶ瞬間や、生活の中の作業を通じて変化が見えたときに、やりがいを感じる人が多いです。自分で考えた関わりが形になったときの面白さも大きいです。
楽しくないのは、作業療法士に向いていないからですか?
そうとは限りません。職場の方針や領域が合っていないだけのことも多くあります。原因を整理し、働く場所を変えてみてから判断しても遅くありません。
理学療法士でも同じですか?
単位や記録に追われる、成果が見えにくい、人間関係がつらいといった理由は理学療法士にも共通します。職場や領域を変えることで解決できる点も同じです。
まとめ
作業療法士が楽しくないと感じる理由は、自分で考えた作業療法ができない、作業を扱えない、成果が見えにくい、単位と記録、人間関係、給料、心身の疲れなどさまざまです。
まずは原因を書き出し、今の職場で変えられることを試し、それでも変わらなければ領域や職場を変えることを考えてみてください。作業療法の面白さは、働く場所しだいで取り戻せることが多いです。
楽しくないと感じるのは、あなたが作業療法士に向いていないからとは限りません。原因を一つずつ見ていけば、今の職場で変えられることも、場所を変えれば解決することも見えてきます。自分を責めず、できることから始めてみてください。
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