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突然ですが、作業療法士というキャリア、あなたはどのように捉えていますか?
医療と福祉の最前線に立つ作業療法士は、高齢化社会を迎えた現代日本において、かけがえのない役割を果たしています。
日々、患者の生活の質の向上を目指し、リハビリテーションの専門家として、その能力を発揮しています。しかし、このように重要な役割を担う職業にも関わらず、作業療法士の働き手とその待遇について、疑問や誤解が生じることも少なくありません。
「作業療法士の数は増え続けているのか、それとも飽和状態に近づいているのか?」、「給料は業界の中でどのような位置づけにあるのか?」 – これらは、作業療法士を目指す学生、現役の作業療法士、またはこの分野に興味を持つ人々が抱く重要な疑問です。
本記事では、最新の統計データや市場分析を基に、これらの疑問に答えるための情報を提供します。作業療法士という職業の現状と将来性を深く掘り下げ、読者の皆様が自身のキャリアパスを検討する際の貴重な参考になることを目指します。
【飽和状態?】作業療法士の数や給料は少ない?多い?
作業療法士の数の現状
日本における作業療法士の数は、近年どのような変化を遂げているのでしょうか?
作業療法士の数
過去10年間のデータを見ると、作業療法士の数は着実に増加しています。厚生労働省の報告によると、2002年には約1.8万人だった作業療法士は、2022年には約10万人に増えています。この20年で5倍ほどの増加を示しており、これは医療・福祉分野の中でも特に高い成長率です。(参考:厚生労働省)
この増加の背景には、高齢化社会への対応として、作業療法の需要が高まっていることが挙げられます。特に、脳卒中や認知症など、高齢者に多い疾患のリハビリテーションに作業療法士の役割は不可欠とされています。
作業療法士は飽和状態?
作業療法士の数の増加が必ずしもポジティブな現象であるとは限りません。一部の専門家は、作業療法士の増加が供給過剰を生み、給料や雇用の安定性に影響を与える可能性を指摘しています。特に地域によっては、作業療法士の数が需要を上回る場所も出てきており、競争が激化している状況も見られます。
つまり作業療法士の数は飽和状態に近づいてきているということです。
さらに、教育機関における作業療法士養成コースの数も増加傾向にあり、これが将来的な供給過多につながることも懸念されています。教育機関は、質の高い教育を提供し続けることで、単に数を増やすだけでなく、質の高い作業療法士を育成する責任があると言えるでしょう。
このように、作業療法士の数は増加しているものの、それが業界全体に及ぼす影響は複雑です。
作業療法士の数は理学療法士と比較すると少ない
医療・福祉の世界における二つの重要な柱、作業療法士と理学療法士。しかし、これらの専門家の数には顕著な差があります。
日本の医療現場において、作業療法士(OT)と理学療法士(PT)は患者のリハビリテーションと生活の質向上に不可欠な役割を担っています。しかし、これら二つの職種の間には、専門家の数において大きな違いが存在します。
2022年の統計によると、理学療法士の数は作業療法士の数を上回っています。具体的には、理学療法士は約200,000人、対して作業療法士は約100,000人というデータがあります。この約100,000人の差は、医療現場での職種の需要や専門分野の違いを反映しています。
理学療法士は、身体機能の回復や運動機能の向上に重点を置き、急性期から回復期のリハビリテーションに多く関わっています。一方、作業療法士は、患者の日常生活活動(ADL)の向上や社会参加の促進に焦点を当て、より生活全体に対するアプローチを行います。
この職種間の数の差は、教育プログラムの数や社会的な認知度、さらには職種ごとの特化した役割に起因する可能性があります。理学療法士の方が一般的により知られている職種であり、その結果、教育プログラムや求職者の数も多いのかもしれません。
しかし、この数の差が作業療法士の重要性を減じるものではありません。実際、作業療法士の役割は、特に高齢者や障害を持つ人々の生活の質を高める上で、ますます重要になっています。社会のニーズに応じて、これらの専門家の役割や数は変化し続けるでしょう。
作業療法士の求人が少ない理由
作業療法士の求人を探している方の多くが感じているかと思いますが、作業療法士の求人は代り映えなく少ないというイメージがありませんか?
医療・福祉の分野で重要な役割を果たしているにも関わらず、作業療法士の求人が比較的少ないのはなぜなのか理由をいくつか挙げてみます。
1. 職場の特性
作業療法士の主な職場は病院やリハビリテーションセンター、介護施設などです。
作業療法士が活躍する場所は理学療法士と比較すると多いのですが、一つ一つの職場の雇用人数はそれほど多くありませんよね。
限られた数の作業療法士で運営が可能なため、新たな求人が出る頻度は他の職種に比べて少ないことがあります。特に小規模施設では、一度定員が埋まると新たな求人が出ることは稀です。
2. 予算の制約
医療機関や介護施設の運営は、公的な予算や保険制度に大きく依存しています。具体的に言うと、国が定める診療報酬によって作業療法士が稼ぐことができる金額が左右されるのです。
このリハビリに関する診療報酬は、ここ数年低下し続けているため作業療法士の稼ぎも少なくなっているのです。
これらの予算の制約により、新しい人材を採用する余地が限られてしまうことがあります。結果として、作業療法士の求人数は、経済的な制約の影響を受けやすいのです。
3. 職員の定着率
作業療法士や理学療法士をはじめとするリハビリ職の離職率は医療領域で10.2%、介護福祉領域で18.8%。他の職種と比較すると高いことが分かります。
しかし、条件の良い職場は定着率が高くなるため新たな求人を見つけづらい状況になっていると考えられます。
4. 職種の専門性
作業療法士は特定の専門性を要する職種です。
そのため、一般的な職種よりも求人のニーズが特化しており、広範囲にわたる求人が少なくなる傾向にあります。特に専門的なスキルや経験を求める職場では、適合する候補者が限られ、求人が目立たないことがあります。
5.求人サイトに載っていない求人もある
作業療法士の求人をハローワークや民間の求人サイトのみでしか探していないという方は、作業療法士求人が少ないと感じていることが多いです。
好条件な求人や競争率や高い求人はすぐに応募が殺到するため、なかなか見つけづらくなります。
人よりも早く、好条件求人を見つけるためには『作業療法士の転職エージェント』にも登録しておきましょう。
非公開の求人も豊富なため、新たな求人を見つけることができます。
作業療法士の転職エージェントの種類は数多くありますが、『PT・OT・STワーカー』は求人数が多いため利用することをおすすめします。
加えて、非公開求人が多い『レバウェルリハビリ(旧リハのお仕事)』も利用すると良いでしょう。
作業療法士の給料の実情
作業療法士の給料は、その専門性や重要性に見合っているのでしょうか?
作業療法士の給料について議論する際、多くの要因が関係しています。地域、経験年数、勤務形態(常勤か非常勤か)、さらには勤務先の種類(病院、クリニック、介護施設など)によっても給料は大きく異なります。
初任給と経験者の給料
新卒の作業療法士の初任給は、平均して月額約20万円から25万円程度です。これに対し、10年以上の経験を持つベテラン作業療法士では、月額約30万円から35万円に上ることも珍しくありません。この給料の差は、経験と専門性の向上が評価されることを示しています。
地域差
地域による給料の違いも無視できません。例えば、都市部では生活費が高いため、給料もやや高めに設定される傾向があります。一方、地方では給料が若干低く設定されることもありますが、生活費の差を考慮すると、実質的な生活水準には大きな差はない場合もあります。
業界の経済状況
給料の実情を理解するためには、医療・福祉業界全体の経済状況を考慮する必要があります。国の医療政策や社会保険制度の変化は、直接的に給料に影響を与えることがあります。また、病院や介護施設の経営状況も、作業療法士の給料に反映されます。
総合的に考慮しても作業療法士の給料は少ない
上記のように、地域差や経験での差はあるにしろ作業療法士の給料は低いと言えます。
作業療法士の給与 |
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平均年収 | 408万 |
平均所定内給与額 | 28.1万 |
年間賞与及びその他特別給与額 | 70.2万 |
上記で示したとおり、作業療法士の給料は少なく全国平均を下回っている状況です。
しかし、この職業の魅力は給料だけにあるわけではなく、多くの作業療法士は患者の生活の質の向上を支えることに大きなやりがいを感じています。
ただ、今後作業療法士の給料が大きく向上するということは考えにくい状況であり、高収入を目指したいのであれば、好条件の職場への転職や早期の副業開始を考えた方が良いでしょう。
作業療法士が簡単に始めることができる副業も以下にまとめていますので、自分に合う副業を探して早期に開始することをお勧めします。
>> 作業療法士におすすめの副業10選!在宅で可能なダブルワークも紹介
作業療法士の給料が少ない理由
先述したように作業療法士の給料は全国平均よりも低い状況にあります。
重要な役割を担う作業療法士ですが、その給料は時に期待に比べて低いと感じられることがあります。その背後にある理由は何なのでしょうか?
1. 公的資金に依存する給与体系
先ほども言った通り、作業療法士の給料は国が決定する診療報酬に左右されます。
国や地方自治体の予算状況や政策の変更も、給料に直接影響を与える要因となり得ます。そして、この診療報酬も上がっているとは言いづらい状況であるため、作業療法士の給料は上がらないのです。
2. 職種の評価の問題
作業療法は、その専門性や技術の高さにもかかわらず、社会的な評価が十分でない場合があります。これは、作業療法の重要性や効果が広く理解されていないことに起因することが多く、結果として給料の低さに繋がっています。
3. 供給過剰の問題
特定の地域や施設では、作業療法士の供給が需要を上回ることがあります。供給過剰の状況は、給料の抑制要因となり得ます。特に新卒者や未経験者の場合、初任給が低く設定されることが一因です。
作業療法士は徐々に有資格者が増加してきており、今後は飽和状態となることが予測されます。
今後も、作業療法士の給料が向上するとは考えづらいでしょう。
4. 職種間の給料の格差
医療・福祉分野内でも、職種によって給料に差があります。例えば、医師や看護師と比較すると、作業療法士の給料は相対的に低いことが多いです。これは、職種間での歴史的な給与体系や社会的な認知度の違いによるものや診療報酬の差が考えられます。
作業療法士の数や給料は少ない?多い?のまとめ
作業療法士の現状、給料の実態、業界の展望と将来性、さらには求人の少なさや給料の低さの理由などを掘り下げてきました。これらの情報は、作業療法士という職業を深く理解し、将来のキャリアを考える上で重要なものです。
作業療法士は、医療と福祉の分野で重要な役割を果たしています。社会の高齢化が進む中、この職業の需要は増え続けると予想されます。しかし、その反面、給料の低さや求人の少なさなどの課題も存在します。これらの課題は、作業療法士個人だけでなく、業界全体、さらには社会全体による理解と支援が必要です。
今後作業療法士の数は増加し続け、飽和状態へ近づくことが予測されます。
それに伴い、作業療法士の給与は維持もしくは低下する可能性が高いと考えられます。
不必要な作業療法士となったり金銭的に困窮してしまわないためにも、今のうちから『転職』や『副業』『スキルアップ』などの対策をしておきましょう。
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