作業療法士が博士号を取ると給料は上がる?大学教員の年収・大学院の費用・働きながら通う方法【現役OT】

【PR】この記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

「作業療法士が博士号を取ったら、給料は上がるの?」「大学院に行く意味はある?」「働きながら博士課程に通えるの?」。臨床を何年か続けて、次のキャリアを考え始めた人から、よく聞く疑問です。

私は現役の作業療法士です。この記事では、作業療法士・理学療法士が博士号を取ると給料がどう変わるのかを、厚生労働省の統計と大学院の制度をもとに整理します。大学院の費用や、働きながら通う方法、博士号が向いている人・向いていない人もまとめました。

OT
この記事を書いた人:だぶ
現役の作業療法士。急性期病院で働きながら、障害のある方の就労支援にも関わっています。リハビリ職の働き方・給料・転職について、現場の目線で発信しています。

この記事の結論

  • 病院や施設で働き続ける場合、博士号を取っただけで給料が大きく上がるとは限らない。学位をどう評価するかは職場によって違う
  • 給料につながりやすいのは、大学・養成校の教員や研究の仕事に進む道。統計では大学の准教授の年収の目安は約876万円、教授は約1,083万円(いずれも全分野の平均)
  • 博士までは、修士2年+博士後期3年が標準。国立大学の標準額では、入学料と授業料だけで修士で約135万円、博士後期で約189万円
  • 夜間の授業や長期履修の制度を使えば、働きながら通うこともできる


博士号を取ると、病院の給料は上がる?

病院や施設で働く作業療法士・理学療法士の給料は、多くの場合、職種と経験年数、役職で決まります。博士号を持っていても、同じ職場で同じ仕事を続けるなら、給料が大きく変わらないことが多いのが現実です。

職場によっては、学位に手当をつけたり、研究や教育の役割を任せたりするところもあります。ただし、その扱いは職場ごとに違い、全国でどのくらいの職場が手当を出しているかを示す公的な統計は見つかりませんでした。今の職場で博士号がどう評価されるかは、就業規則や給与規程、上司に確かめてみましょう。

参考までに、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の年収の目安は約443.6万円(平均年齢36.2歳)でした(毎月の給与×12か月+賞与で計算)。この数字には、学位を持っている人も持っていない人も含まれています。

博士号が給料につながりやすい道:大学の教員

博士号がいちばん生きるのは、大学や養成校で教えたり、研究したりする仕事です。大学の教員の公募では、博士の学位や研究の業績が求められることが多くあります。

年収の目安:大学教授 約1,083万円、大学准教授 約876万円、大学講師・助教 約712万円、PT・OTなど 約444万円(令和7年賃金構造基本統計調査)
職種 平均年齢 毎月の給与 賞与など(年) 年収の目安
大学教授 57.5歳 66.78万円 281.28万円 約1,083万円
大学准教授 49.3歳 55.59万円 209.35万円 約876万円
大学講師・助教 41.6歳 48.89万円 125.50万円 約712万円
理学療法士・作業療法士など 36.2歳 30.99万円 71.72万円 約444万円

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別第1表(男女計、企業規模10人以上)。毎月の給与は「きまって支給する現金給与額」。年収の目安は毎月の給与×12+賞与などで計算。大学の教員は高専を含み、全分野の平均です

この表で注意したいのは、大学の教員の数字は、医学部や工学部なども含めた全分野の平均だということです。リハビリの養成校や、私立と国立などで、給料は違います。また、平均年齢も大きく違うので、「博士号を取ればすぐにこの年収になる」という意味ではありません。助教や講師から始めて、研究や教育の実績を重ねて上の職に進むのが一般的です。

それでも、臨床だけを続けた場合と比べると、教員の道には年収が大きく伸びる可能性があります。年収を上げるほかの方法も知りたい人は、作業療法士が年収1000万円になる方法の記事も参考にしてください。

博士号を持つ作業療法士・理学療法士が働く場所

  • 大学・短大・専門学校(養成校):学生の授業や実習の指導、研究
  • 研究機関:国や自治体の研究所、病院の研究部門など
  • 大きな病院:臨床研究のまとめ役、若手の研究の指導
  • 企業:福祉用具・医療機器・ヘルスケアの会社の研究や開発

臨床を続けながら、非常勤の講師として養成校で教える人もいます。博士号は、臨床と教育・研究をつなぐ働き方の選択肢を広げてくれます。

博士号を取るまでの道のり

大学院の決まり(大学院設置基準)では、修士課程の標準の期間は2年、博士課程は5年です。博士課程は「前期2年(修士にあたる)」と「後期3年」に分けることができ、後期だけの課程は3年とされています。

  1. 修士課程(博士前期課程):2年。研究の基本を学び、修士論文を書く
  2. 博士後期課程:3年。自分で研究を進め、学術誌に論文を出し、博士論文をまとめる

つまり、大学を出てから博士号を取るまでは、標準で5年かかります。専門学校を卒業した人は、大学院に入るための資格を、大学ごとの審査や制度で認めてもらう方法もあります。くわしくは、行きたい大学院の募集要項で確かめましょう。

大学院の費用

国立大学の大学院の費用には、国が決めた標準の額があります。

項目 国立大学の標準額
入学料 282,000円
授業料(1年) 535,800円
検定料(入試) 30,000円

出典:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(標準額。実際の額は各国立大学法人が定めます)

この標準額で計算すると、入学料と授業料だけで、修士課程(2年)は約135万円、博士後期課程(3年)は約189万円です。修士課程と博士後期課程で、それぞれ入学料がかかる場合があります。私立大学の大学院は、大学によって費用が違うので、募集要項で確かめてください。ほかに、学会への参加費、論文の投稿料、本や統計ソフトの費用などもかかります。

働きながら博士号を取る方法

作業療法士・理学療法士で大学院に通う人の多くは、働きながら学ぶ「社会人大学院生」です。大学院設置基準では、夜間など特定の時間や時期に授業をする方法が認められていて、社会人が通いやすい大学院もあります。

  • 夜間・土日の授業がある大学院を選ぶ:仕事のあとや休みの日に通える
  • 長期履修の制度を使う:働いているなどの事情があれば、標準より長い期間をかけて計画的に学べる制度があります。授業料の総額が通常と釣り合うように決められることが多いので、1年あたりの負担を減らせます
  • 職場の制度を確かめる:勤務時間の調整や、学費の補助がある職場もあります
  • 研究のテーマを臨床と結びつける:今の職場の患者さんや仕事に関わるテーマなら、職場の協力を得やすい(研究には倫理審査や同意の手続きが必要です)

奨学金や、国の教育訓練給付の対象になる講座もあります。使えるかどうかは、大学院やハローワークで確かめてみましょう。

大学院の選び方

大学院は、学校の名前よりも、誰の指導を受けるかで選ぶのが基本です。研究は指導教員と二人三脚で進めるので、相性や指導の方針が、続けられるかどうかを大きく左右します。

  • 研究テーマが近い先生がいるか:先生の論文や学会発表を読んで、自分のやりたいことと近いか確かめる
  • 社会人の大学院生がいるか:働きながら学ぶ先輩がいる研究室は、両立の工夫を教えてもらいやすい
  • 授業の時間と場所:夜間・土日の授業、オンラインの授業があるか、職場から通えるか
  • 修了までの年数の実績:標準の年数で修了する人がどのくらいいるか

気になる先生がいたら、入試の前に連絡を取って、研究室を見学させてもらうのがおすすめです。説明会を開いている大学院も多くあります。

研究テーマの見つけ方

臨床で働く作業療法士・理学療法士にとって、研究のテーマはいちばん身近な日々の仕事の中にあります。

  • 「この評価は、本当にこの患者さんに合っているのか」と感じたこと
  • 同じ介入をしても、よくなる人とそうでない人がいるのはなぜか
  • 退院したあと、患者さんの生活はどう続いているのか

こうした疑問をメモしておき、関係する論文を読んでみると、すでにわかっていることと、まだわかっていないことが見えてきます。その「まだわかっていないこと」が、研究のテーマの候補です。

大学の教員を目指すときの流れ

大学の教員を目指す場合、博士号を取ったらすぐに教授になれるわけではありません。一般的には、助教や講師として採用され、授業や実習の指導、研究を続けながら、業績を積んで准教授・教授へと進んでいきます。採用は、大学が出す公募に応募して選ばれる形が多く、研究の論文や教育の経験、臨床の経験が見られます。

教員になると、臨床の時間は少なくなりますが、学生の実習先との関わりや、臨床研究を通して現場とつながり続ける人も多くいます。

博士号を取るメリットとデメリット

メリット デメリット
大学の教員や研究の仕事に応募できる 修士と合わせて5年ほどかかる
研究で根拠を確かめる力がつき、臨床にも生きる 学費のほか、学会や論文の費用がかかる
非常勤講師など、収入の柱を増やしやすい 仕事・家庭・研究の両立がきつい時期がある
専門分野で名前を知ってもらいやすい 今の職場では給料が上がらないこともある

博士号が向いている人・向いていない人

向いている人

  • 将来、大学や養成校で教えたい人
  • 臨床で感じた疑問を、研究で確かめたい人
  • 何年もかけて一つのテーマに取り組むのが苦にならない人

ほかの方法も考えたい人

  • 今の給料を早く上げたい人:職場を移る、訪問や管理職を目指すなどのほうが早いことも
  • 臨床の技術を深めたい人:認定・専門の資格や研修のほうが合うことも
  • 時間やお金にゆとりがない時期の人:修士だけ、研究会への参加などから始める方法も

資格や研修でスキルアップする方法は、作業療法士のスキルアップの方法や認定作業療法士の記事で紹介しています。

修士だけでも意味はある?

修士号でも、研究の進め方や論文の読み方が身につき、臨床で根拠を確かめる力になります。専門学校の教員や、病院での研究のまとめ役など、修士号が評価される場面もあります。まず修士で研究が自分に合うかを確かめ、そのうえで博士後期に進むかを決める人も多くいます。

大学院に行く前に、職場選びも考えておく

働きながら大学院に通うなら、職場の理解がとても大切です。夜間の授業に間に合う勤務時間か、学会の発表で休みを取りやすいか、研究に協力してもらえるかで、続けやすさが大きく変わります。

今の職場では両立が難しいと感じたら、研究や教育に理解のある職場に移るのも一つの方法です。求人票には書かれにくいことなので、見学のときに聞いたり、転職エージェントに職場の様子を確かめてもらったりするとよいでしょう。PT・OT向けの転職サイトの違いは、PT・OT向け転職サイトのくらべの記事にまとめています。

よくある質問

Q. 博士号を取ると、病院で手当はもらえますか?

A. 職場によります。学位の手当がある職場もありますが、ない職場も多くあります。就業規則や給与規程で確かめましょう。

Q. 理学療法士でも同じですか?

A. 同じです。統計の職種は理学療法士・作業療法士などをまとめた数字で、大学院の制度や費用も変わりません。

Q. 何歳からでも大学院に行けますか?

A. 年齢の上限はありません。臨床経験を積んでから入学する人も多くいます。

Q. 専門学校卒でも大学院に入れますか?

A. 大学院ごとの審査などで、入学の資格を認めてもらえる場合があります。行きたい大学院の募集要項で確かめましょう。

Q. 博士課程の途中で、仕事との両立が難しくなったら?

A. 休学の制度や、長期履修への切りかえができる大学院もあります。無理をして体を壊す前に、指導教員や大学院の事務に相談しましょう。職場の勤務の調整を相談するのも一つの方法です。

Q. 博士号を取ったあと、臨床に戻ることはできますか?

A. できます。研究で身につけた、根拠を確かめる力や、データをまとめる力は、臨床でも生きます。研究と臨床の両方を続ける人もいます。

まとめ

作業療法士・理学療法士が博士号を取っても、病院や施設で同じ仕事を続けるなら、給料が大きく上がるとは限りません。博士号が給料につながりやすいのは、大学や養成校の教員、研究の仕事に進む道です。統計では、大学の講師・助教で約712万円、准教授で約876万円、教授で約1,083万円が年収の目安です(全分野の平均)。

博士号までは修士2年+博士後期3年が標準で、国立大学の標準額では入学料と授業料だけで修士約135万円、博士後期約189万円かかります。夜間の授業や長期履修の制度を使えば、働きながら通うこともできます。

将来どんな働き方をしたいかを考えたうえで、大学院に進むか、資格や職場選びで道を広げるかを選んでみてください。

PRPT・OT・STワーカー

まずは相談だけでも大丈夫です

  • 求人サイトに出ていない非公開求人も紹介
  • 見学・面接の日程調整や条件交渉まで担当者がサポート
  • 「すぐ転職したいわけではない」相談からでも使える

PT・OT・STワーカーの公式サイトを見る

PTOT人材バンクもあわせて見てみる