【飽和状態】作業療法士に将来性はないのか現役OTが分析

【飽和状態】作業療法士に将来性はないのか現役OTが分析

作業療法士は飽和状態であり、将来性がないと語る人を私はみてきました。作業療法士や理学療法士に対してパラレルワークを推進するセミナーでも、作業療法士は今後の将来性はなく複数の仕事を同時にするべきであると、語られていました。

しかし、実際本当に作業療法士に将来性はないのでしょうか。何をもって将来性がないと判断しているのかという点は不鮮明なものがあります。

そこで、今回作業療法士は本当に将来性がない仕事なのか。現役OTである私が分析し解説をしていきたいと思います。

 

【飽和状態】作業療法士に将来性はないのか現役OTが分析

作業療法士に将来性がないといわれる理由

 

なぜ、作業療法士には将来性がないといわれるのでしょうか。その理由は明確であり作業療法士の現状と今後。そして、金銭面での原因が考えられます。

作業療法士は飽和状態となる

作業療法士は飽和状態になるという言葉を耳にすることがあります。

2019年に作業療法士協会が調査した統計情報によると作業療法士の数は、94255人。ここ数年は毎年5000~6000人ほどのペースで資格取得者が増加してきています。

(参考:2019年度日本作業療法士協会会員統計資料

その中でも、6割は病院などの医療施設で勤務しているといわれています。

厚生労働省によると、令和元年のクリニックも含めた医療施設の数は179208件あります。

この中に作業療法士が最低でも1人いると考えても、現在のところは飽和状態であるといえない状況です。福祉施設など豊富な就職先があることを考えるとなおさらでしょう。

今後、有資格者が増加することを考えると徐々に飽和状態に近づくことが考えられますが、ここ数年は仕事がなくなるということはなさそうです ね。

しかし、徐々に飽和状態に近づいていくことは紛れもない事実であり、飽和状態に近づくことが将来性がないといわれる理由の一つとなっているようです。

 

作業療法士の需要

作業療法士の需要も将来性がないといわれる所以です。

リハビリを必要とする方が0になることは今後ないため、需要がなくなるということは考えにくいのですが、いずれ低迷することはあり得ます。

内閣府の高齢者増加の予測によると、高齢者の数は今後も増加の一途をたどり、その数は2042年には3935万人とピークを迎えるといわれています。(参考:内閣府高齢者の現状と将来像

高齢者が増加するということは、リハビリを必要とする方が増加するということですので、少なくとも2042年から10年後ほどまでは作業療法士の需要がなくなることはないでしょう。

しかし、高齢者の数のピークを迎えた後は徐々に需要が低迷することが考えられます。

将来的に、需要が低迷し有資格者が増加する状況となり、仕事がなくなっていくと考えられます。単純な考えですが、この情報だけ見ると作業療法士には将来性がないと考えられますね。

 

作業療法士の給料は低い

作業療法士の給料は、正直あまり高くありません。

それどころか昇給に関しても少ない職場が多く、現在のところ金銭面では将来性が全くありません。

作業療法士の給与

平均年収 408万
平均所定内給与額 28.1万
年間賞与及びその他特別給与額 70.2万

参考:賃金構造基本統計調査/令和2年度

全国の平均年収は国税庁によると461万円(国税庁)であるにもかかわらず、作業療法士の平均年収は408万円。

かなり大きな開きがあるということが分かりますね。

作業療法士の業務内容を考慮すると、明らかに努力と給与が見合っていません。これでは、作業療法士に将来性があるとは言いづらいですね。

 

関連記事 >>作業療法士はやめとけと言われる理由を現役OTが考えてみた

 

作業療法士が今後のために行うべき対策

作業療法士が今後のために行うべき対策

作業療法士には将来性がないといわれますが、今後、作業療法士はどのように対策を打っていけばよいのでしょうか。

作業療法士が将来性のない作業療法士として生きていくうえで、行うべき対策は以下の4つです。

作業療法士が行うべき対策

  1. 必要とされる作業療法士になる
  2. AIにはない発想力や対応力を身に着ける
  3. 福利厚生の手厚い職場へ転職する
  4. 作業療法士以外の所得も確保する

1.必要とされる作業療法士になる

作業療法士の有資格者が増加し、今後高齢者の減少に伴い、作業療法士の需要が低下したとしましょう。

すると、需要が低下した際にはより作業療法士の質が問われるようになり、好条件の職場であればあるほど質に対する評価は厳しくなるでしょう。

近年、就職難といわれる現象が就活生に訪れていましたが、就職難が作業療法士にも訪れる可能性があるということです。

また、転職に関しても技術や知識・資格等の有無が採用に大きく関わるようになることが予測されます。

つまり、今後作業療法士として良い職場に就職や転職をするためには専門性の高い知識や技術を身に着けて、自身の価値を高めておく必要があるということです。

認定作業療法士や各種指導士など、専門性の高い資格の取得を目指すことが必要とされる作業療法士となる第一歩となるのです。

 

2.AIにはない発想力や対応力を身に着ける

最近では、AI(人工知能)に置き換わる仕事が増加しており、仕事に対しての人員の数が少なくなっています。

作業療法士でも、その現象は少なからず起こりうるでしょう。

特に、関節可動域訓練や筋力増強訓練など単純な訓練に関しては、AIへの置き換わりが激しくなってくるでしょう。

しかし、作業療法士はAIに置き換わりにくい職業ともいわれています。

その理由としては、患者の感情を読み取ったり独自のアイデアや発想を用いたリハビリテーションは、AIには難しく人間である作業療法士が行う必要性が高いからです。

ですので、作業療法士として今後生きていくのであれば、AIにはない発想力やアイデアを身に着けることが必須となるでしょう。

 

3.福利厚生の手厚い職場へ転職する

3つ目は、福利厚生の高い職場に転職するということです。

作業療法士は、昇給も少ない場合が多く将来的に金銭面でも不安があります。

その将来への不安を払拭するためには、好条件で福利厚生の手厚い職場へ転職をする必要性があるということです。

そして、転職をするのであれば5年目までがベストであると私は考えます。

>>作業療法士の転職時期は何年目の何月がベスト?

早めに転職をして、将来の対策をしておきましょう。

とはいえ、求人をハローワークで調べていても好条件の職場などないと感じませんか?

私も求人を探している際にハローワークを利用していましたが、出ている求人はいつもほとんど変化がなく、好条件の求人など存在しませんでした。

では、そうしたら好条件の求人を探すことができるのでしょうか?

私が、おすすめする求人探しの方法は『作業療法士の転職エージェント』を利用することです。転職エージェントというのは、就職のプロであるキャリアアドバイザーがあなたに合った求人を紹介してくれるという完全無料のサービスです。

それだけでではなく、他の転職サイトやハローワークに掲載されていない非公開求人というものも存在していますので、好条件の求人を探しやすくなるということです。

本当に良い職場で働きたいと考えるのであれば、一度登録しておきましょう。お勧めする、エージェントは以下に記載していますので参考にしてください。

作業療法士におすすめの転職エージェント5選

 

1.PT・OT・STワーカー

求人数がもっとも多く、未登録なら最初に登録すべきエージェント

 

2.レバウェルリハビリ(旧リハのお仕事)

好待遇・好条件の非公開求人が多いので他のエージェントとの併用で登録必須◎

 

3.PT・OTキャリアナビ

電話・メール・LINEなど多彩な連絡手段で気軽に、紹介してもらえる

 

4.マイナビコメディカル

大手マイナビのエージェント。信頼性トップレベルで安心の転職ができる

 

5.PT・OT人材バンク

介護施設の求人も豊富で全体的な求人数もトップクラス

もっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

 

>>【現役OTが選ぶ】作業療法士におすすめの転職エージェントランキング

 

4.作業療法士以外の所得も確保する

作業療法士の給与以外でも所得を確保することも、将来の安心につながります。

作業療法士は、給料が多いとは言えず退職金も職場によってはごくわずかです。

現在の若年層の将来は、年金もわずかしかもらえず老後資金として2000万円必要となるといわれています。

正直、かなり辛抱した生活をしても作業療法士だけで貯めるのは難しそうですよね。

副業をできればそれが最も良いのですが、時間を確保できず副業などしている暇がないという方も作業療法士の中には少なくないでしょう。

副業をするのは難しいという方は、政府もおすすめしている『積み立てNISA』という投資信託サービスの利用を検討してみましょう。

リスクは最低限に、老後の資金を確保する手段になりますよ。

 

作業療法士にはまだ将来性がある

作業療法士の将来性はまだある

作業療法士には、将来性がまだあると私は感じます。

確かに、給料はあまりよくはないですし、今後は作業療法士の増加とともに就職先も制限されてくるでしょう。

しかし、今後作業療法士が不要となる時代は来ないと感じています。

作業療法士の将来性があると言い切る理由は以下の3点です。

  1. 作業療法士を人工知能(AI)に置き換えることが難しい
  2. 2042年までは高齢者が増加し続ける
  3. 精神障害や発達障害に対する需要は増加する

作業療法士を人工知能(AI)に置き換えることが難しい

多くの仕事は20年後にはAIに置き換わってしまうといわれていますが、作業療法士はAIに置き換えることが難しいといわれています。

英オックスフォード大学の論文によると、AIに置き換えられない職種として6位にoccupational-therapist(作業療法士)と記載があるのです。

(参考:https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf)

今後、多くの職がAIに置き換わり人員を減少させるのに対して、作業療法士はAIに置き換えずらく人間が必要なのです。

そのため、将来的にも現在の人員を維持することが必要とななるということです。

AIに置き換えられない仕事である作業療法士は、まだ将来性がある仕事といってよいでしょう。

2042年までは高齢者が増加し続ける

作業療法士には将来性がないといわれていますが、その将来とは何年後のことでしょうか。

実際、現在は高齢化社会であり今後も、2042年までは高齢者が増加。その後もすぐに現在の高齢者の数を下回ることはありません。

そのことを考えると少なくとも近い将来に作業療法士は必要であるといえます。

50年後100年後の将来性は不透明であり、作業療法士の需要が低下している可能性があることは否定できません。

しかし、現在作業療法士をしている方やこれから目指そうとしている方にとっては、大きな将来性に対する問題はないと考えられますね。

精神障害や発達障害に対する需要は増加する

作業療法士は、精神障害や発達障害に対するリハビリテーションも行います。

近年、いくつかの理由で精神障害や発達障害は増加傾向にあります。(参考:総務省統計局

発達障害が増加している要因としては、以下の2つが考えられます。

  • メディアを視聴する機会が増加し睡眠の質の低下幼児期の筆記機会低下
  • 知識能増化により発達障害と気が付くことが増えた

精神障害が増加している背景には、生活に対する不安や労働環境の悪化によるストレスの増加などが考えられます。

精神・発達障害に関してのリハビリテーションを行う作業療法士は、今後も身体障害分野以外の需要を増加し続ける予測ができるため将来性があるといえます。

 

作業療法士の将来性のまとめ

作業療法士の将来性は不鮮明であることは確かでしょう。

今後、作業療法士は増加の一途をたどり2024年以降は高齢者が減少し需要が低下する可能性があります。

しかし、作業療法士はAIに置き換えることができない仕事であること。そして、発達障害・精神障害の数は増加し需要が高まることを考えると一概に作業療法士には将来性がないといえないのではないでしょうか?

少なくとも、2024年までは需要が増加していきます。

しかし、今後のことは誰にもわかりません。作業療法士を目指す方やすでに作業療法士として働いている方は必要とされる作業療法士となれるように対策を取りましょう。