記事内で紹介するサービスを利用することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。しかし、記事内容については公平さと正確さを心掛けていますのでご安心ください。
理学療法士の多くが入会する理学療法士協会。
しかし、中にはメリットがないという判断をし退会してしまう方も少なくないようです。
確かに、理学療法士協会は人によっては全く意味がないかもしれません。
ただ、入会するメリットがないわけではないのです。
今回は、理学療法士協会に入会する方法やメリット。さらには、理学療法士協会に入会しないという選択肢が有りなのかという点についても解説していきます。
ちなみに、私は作業療法士として働いていますが、理学療法士協会と同等の存在である、作業療法士協会には入会していません。
理由としては、メリットを感じれなかったからです。
このように、人によって理学療法士協会への入会には賛否ありますので、この記事を参考にして入会や退会を検討してみてください。
【入会しない!】理学療法士協会に入るメリットはあるのか
理学療法士協会とは
理学療法士協会の存在を知らないという理学療法士はいないかと思いますが、入会金なども踏まえて概要を紹介していきます。
理学療法士協会の目的
理学療法士協会は、理学療法士が集う学術および職能団体であり、理学療法士の地位を向上させるために存在している団体です。
理学療法士協会にかかる費用
理学療法士協会に入るためには年会費や入会費がかかります。
理学療法士協会においてかかる費用は以下の通りです。
・入会費:5000円
・年会費:協会費用(11000円)+都道府県会費(10000円)=計21000円
※免許取得年は協会費用5000円
※育児休業中は協会費用2000円(申請が必要)
つまり、理学療法士協会に入ると、毎年21000円費用として必要ということです。
理学療法士協会の人数と入会率
では、理学療法士はどの程度理学療法士協会に加入しているのでしょう。
理学療法士協会に在籍している理学療法士の数は、2022年3月末の段階で133,133人となっています。2022年時点での有資格者数の情報が見つからないため、200000人程度と想定して計算すると66%程度の入会率ということになりますね。(参考:日本理学療法士協会統計)
2016年時点では90%の入会率と言われているので、入会率は急激に低下してきているようです。
(参考:厚生労働省)
理学療法士協会に入会するメリット
理学療法士協会に入会すると毎年21000円もの費用が掛かります。
この費用を払ってまで、理学療法士協会に入会するメリットはあるのでしょうか。
理学療法士協会に入会するメリットとを紹介していきます。
継続的な学習機会を提供してくれる
理学療法士協会では、専門職としての質を保つために学習プログラムを構築しています。
まず、新人の頃には座学や実地などの前期研修(最短2年)、後期講習(最短3年)を受ける必要があります。
上記の研修や講習を修了すると、登録理学療法士になることができます。
登録理学療法士においては5年ごとに更新が必要となるため、5年の期間を目安に自己研鑽を続けることになるということです。
勉強会の情報を取得できたり安く参加できる
理学療法士協会に加入する大きなメリットの一つとなるのが、勉強会に参加しやすくなるということです。
協会が認定した勉強会や講習会のみの情報をまとめているため、信頼性のある勉強会の情報収集をすることができたり、参加することができるというのが理学療法士協会のメリットです。
また、勉強会一つにしても理学療法士協会会員と非会員においては受講費用が異なります。
例を挙げると、理学療法士が実習生のバイザーとなる際に必要な臨床実習指導者講習会は、会員1万円に対し非会員2万円など大きな違いがあります。
勉強会に多く参加するという方にとって、理学療法士協会への入会は年会費分の価値があるものと言えそうです。
学術専門誌が送られてくる
理学療法士協会に入会すると、2カ月に1回学術冊子が送られてきます。
これらには、理学療法士の研究論文や理学療法士の現状などが記載されているため、理学療法士全体の状況や最新の研究を知ることができるのです。
理学療法士の保険が特典としてつく
理学療法士協会に入るメリットとして、よく言われているのが理学療法士賠償責任保険が特典として付くという点です。
この保険は理学療法士協会の会員が、理学療法業務中に起こした事故(関節可動域訓練中に骨折させたなど)に対して300万円を限度額として、保証してくれる保険となっています。
この保険を目当てに理学療法士協会に在籍しているという方も少なくありません。
ただ、理学療法士協会の賠償責任保険以外にも、万が一に対しての保険が存在しています。
例を挙げると、年間3440円で入れて、理学療法士協会の保証よりも手厚いものがありますので、保険のみの目的であればそちらの方が良いといえるでしょう。
今回例を挙げたものはWillnextの医療者向け保険です。
その他にも、存在していると思いますので探してみてください。
クラブオフが利用できる
理学療法士協会に入るとクラブオフを利用することができます。
クラブオフとは、施設の利用料や飲食代などが割引価格で利用できるサービスであり、理学療法士協会に入ることでこの割引を受けることができます。
ただ、クラブオフの割引はそれほど大したものではなく、他のクーポンなどで賄えるものですので、クラブオフ目的に理学療法士協会にいる選択肢は利口ではないでしょう。
認定・専門理学療法士になることができる
認定や専門理学療法士は、理学療法士の専門性を示すもっとも信頼性の高い資格であるといえるでしょう。
この認定もしくは専門理学療法士の資格取得には、理学療法士協会に在籍していることが必須ですので、スキルアップの先に認定や専門の資格取得を考えているのであれば、理学療法士協会に加入するメリットがあるといえるでしょう。
今後、理学療法士が増加していく中でこれらの資格はかなり重要な役割を担うことになることが予測されます。
認定理学療法士の資格によって給料が変わってくるということも考えられますので、理学療法士として生き残るために取得を目指すことを考えても、良いかもしれませんね。
理学療法士協会に入会するデメリット
理学療法士協会に入会することは、人によってはメリットがあるでしょう。
しかし、理学療法士協会にはデメリットも存在しています。
理学療法士協会は費用が高い
理学療法士協会の大きなデメリットは費用が高いということです。
・入会費:5000円
・年会費:協会費用(11000円)+都道府県会費(10000円前後)=計21000円
※免許取得年は協会費用5000円
※育児休業中は協会費用2000円(申請が必要)
理学療法士協会の費用でも毎年の費用を紹介しましたが、理学療法士協会に入ると毎年2万円ほどのお金を支払う必要があります。
年間2万円の費用に対して高いと感じるか安いと感じるのかは、人それぞれかと思いますがコストパフォーマンスの面で考慮すると個人的には高いと思います。
学術専門誌が届くのが嫌になる
理学療法士協会に入ると、2カ月に一回学術誌が届くのですが、学術誌が不要な人にとっては処分等面倒くさく感じます。
これは大したデメリットではないのですが、学術誌に興味のない人は理解できる人が多いのではないでしょうか。
理学療法士協会を退会する前に理解しておくべきこと
理学療法士協会のメリット・デメリットを理解したうえで、理学療法士協会を退会しようと考えている方もいるでしょう。
しかし、理学療法士協会を辞める前に知っておかなければならない注意点もあります。
生涯学習制度から離脱してしまう
理学療法士協会を退会すると、それまでに理学療法士協会を利用して積み上げた新人研修などはリセットされます。
つまり、登録理学療法士などになっていたとしても、無駄になるということです。
これまで学習した履歴に執着がない人は良いのですが、生涯学習プログラムを再度行うというのは面倒なことですので注意しておく必要があります。
再度入会するには入会金が必要
理学療法士協会を退会して再度入会するためには、入会金5000円を再度支払う必要があります。
それほど大きな金額ではないのですが、再度入会金を取られてしまうというのは、考慮して退会するようにしましょう。
理学療法士協会が関与する事業に関わりづらくなる
当然のことですが、理学療法士協会が主催するイベントごとや講習会には参加しづらくなります。
講師として呼ばれづらくなることは、理解しておきましょう。
転職や就職で不利になる可能性もある
理学療法士協会に入会していないことで、転職等が不利になる可能性があります。
以下は、PT・OT・STネットの掲示板で記載されていることです。
うちは転職者などには面接の際に、面接には関係のないような談話をしながら確認しております。「協会に入ってる?」「新人教育プログラムは終わっている?」など。非加入の方にはアップデートな情報収集はどうしているの?と聞いています。
大体はシドロモドロになったり、お金払って任意の学会に参加していますという発言になるので、それは大変だねぇという雰囲気にしています。そうすると微妙な展開になりやすいので、最終的にお断りのお祈り連絡へ繋げています。
個人で損害賠償保険に入っていて他の任意学会に入っていれば採用しますけど、両方を満たす方はまずいませんよね。採用条件には記載はしていませんが、こんな感じで裏で協会加入を最低条件にしている職場もありますよ。公言すると面倒になるので面接者には絶対に教えませんけど。なのでデメリットは転職済なので影響はないと思いますが、転職時はこういう職場もあるので気を付けて下さいですかね。協会加入は任意ですけど面接をする責任者が協会員の場合、そこそこの立場に就いていることも多いため加入していない方にあまり良い顔はしないと思いますので。引用:PT・OT・STネット
正直、理学療法士協会に入っていないとアップデートな知識を得ることができないというような考え方は、悪しき風習であると感じますし、それを理由に転職へ影響が出てしまうことは、あってはならない事であると感じます。
理学療法士協会に入ることが当然という考えは、入会率が低くなっている今では古い考えといえるでしょう。
しかし、このような考え方をしている理学療法士が多いことは事実ですし、転職に影響が出てくる可能性があるということも、考えておかなければならないということです。
まずは理学療法士協会の休会を検討しよう
理学療法士協会を退会する前に考えてほしいのは、休会です。
理学療法士協会に休会制度について
理学療法士協会には休会制度が存在します。
休会期間は、1年間と定められており4月1日~翌年の3月31日までと年度単位に設定されています。
休会中は、勉強会の割引などサービスを受けることはできませんが年会費はかからず、退会とほとんど変わらない状態になります。
休会して一年間継続の手続きをしなければ、強制的に退会となります。
ただ、休会期間中の1月1日~3月31日までに休会の継続手続きをすれば、さらに休会期間を継続することができるというシステムになっています。
理学療法士協会の休会から復帰の際の入会金
理学療法士協会を休会して復帰する際に入会金は必要ありません。
先ほども説明したように、退会してしまうと再入会には5000円の入会金が必要となります。
このことから、少しでも再入会の可能性がある方は理学療法士協会を退会するのではなく、休会しておくというのが無難ですね。
休会した際の生涯学習制度
理学療法士協会を休会しても、生涯学習制度の進捗状況は保たれる形になります。
こちらも、退会してしまうと生涯学習制度がリセットされることになりますので、再入会の可能性がある方は休会を選択するべきと言えます。
理学療法士協会には入会していた方が良いのか
結論としては、理学療法士協会に入会する必要は必ずしもありません。
一年間の費用である2万円に対してメリットが薄いなと感じた場合は、退会や休会を考えるのが無難ですし、大きなスキルアップを目指していない理学療法士にとって、理学療法士協会に入会しておくメリットはそれほどありません。
ただ、今後認定理学療法士になりたいなど、理学療法士を極める心持であるならば、理学療法士協会に入っておくことは必須でしょう。
このように、理学療法士協会に入るべきか否かは、人によって異なります。
自分にとってメリットがあるのかを考えて判断していきましょう。
また、退会を検討している方は一年間の休会を最初に選択することをおススメします。