リハビリ職の職場のいじめ・人間関係がつらいとき|指導とパワハラの違い、対処と相談先【現役OT】

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「先輩の言い方がきつくて、リハ室に行くのがつらい」「自分だけ無視されている気がする」「『ダメな作業療法士』と言われて、自信がなくなった」。リハビリ室は人数が少なく、毎日同じメンバーで働くので、人間関係がこじれると逃げ場がないと感じやすい職場です。

私は現役の作業療法士です。1年目のころ、厳しい指導を受け、自分で考えたプランを「正解は一つ」のように直されて、落ち込んだ経験があります。この記事では、厚生労働省の情報をもとに、指導とパワハラの違い、リハビリ職の職場で起きやすいこと、今日からできる対処、相談先、職場を変えるときの考え方をまとめます。

OT
この記事を書いた人:だぶ
現役の作業療法士。急性期病院で働きながら、障害のある方の就労支援にも関わっています。リハビリ職の働き方・給料・転職について、現場の目線で発信しています。

この記事の結論

  • パワハラは法律で定義されていて、「優越的な関係」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」「就業環境が害される」の3つがそろうもの。業務上必要で相当な範囲の指導はパワハラにあたらない
  • ただし、人格を否定する言葉や、集団での無視などは、指導の名目でもパワハラにあたり得る
  • 職場の「いじめ・嫌がらせ」の相談は、国の労働相談で14年連続で最多。一人で抱える問題ではない
  • まずは記録を残し、信頼できる人や公的な窓口に相談する。体調を崩す前に、職場を変えることも選択肢に入れてよい


リハビリ職の人間関係がこじれやすい理由

リハビリ職の職場には、人間関係がこじれやすい特徴がいくつかあります。

  • 少人数で固定されている:リハビリ科は数人〜十数人のことも多く、異動も少ないため、一度関係がこじれると毎日顔を合わせることになります
  • 先輩・後輩の上下関係が強い:経験年数で立場が決まりやすく、新人は意見を言いにくい雰囲気があります
  • 「正解」が一つではない仕事:評価やプログラムに唯一の正解はありませんが、先輩のやり方を「正解」として押しつけられると、考えることが怖くなります
  • 勉強会や症例発表の文化:学ぶ機会である一方、人前で厳しく指摘される場になることもあります
  • 他職種との関係:看護師や医師との連携で、板ばさみになることもあります

こうした職場の仕組みの中で起きていることなので、つらいと感じるのはあなたの力不足だけが原因ではありません。

指導とパワハラの違い

職場のパワハラの3つの要素:優越的な関係、業務上必要かつ相当な範囲を超える、就業環境が害される

厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、職場のパワーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものと説明しています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

そして、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務の指示や指導は、パワハラにはあたらないとされています。一方で、労働者に問題となる行動があった場合でも、人格を否定するような言動など、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動があれば、パワハラにあたり得るとも書かれています。

出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」

パワハラの6つの類型

類型 内容 リハビリ職の職場で考えられる例
身体的な攻撃 体に危害を加える 物を投げつける、たたく
精神的な攻撃 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言 同僚や患者さんの前で、人格を否定する言葉をくり返し浴びせる
人間関係からの切り離し 隔離・仲間外れ・無視 特定の人だけを、カンファレンスや情報の共有から外す
過大な要求 業務上明らかに不要なことや、遂行できない業務を押しつける 必要な教育がないまま、到底こなせない単位数や書類を課し、できないと厳しく叱る
過小な要求 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない 理由なく患者さんを担当させず、雑用だけをさせる
個の侵害 私的なことに過度に立ち入る 打ち明けた病気や家庭の事情を、勝手に周りに広める

類型と内容は厚生労働省「あかるい職場応援団」より。「リハビリ職の職場で考えられる例」は、類型をわかりやすくするための例です。実際にパワハラにあたるかは、個別の状況で判断されます

指導か、パワハラか迷ったときの見分け方

  • 中身が仕事のことか:「評価のこの項目が抜けている」は仕事の指摘。「だからお前はダメなんだ」は人格への攻撃です
  • 改善の方法が示されているか:指導なら、どう直せばよいかがわかります
  • 場所と回数:必要以上に人前で、毎日のようにくり返されていないか
  • ほかの人と比べて扱いが違うか:自分だけが無視されたり、外されたりしていないか

職場のいじめ・嫌がらせは、珍しいことではない

厚生労働省の「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」では、全国の労働局などに寄せられた総合労働相談の件数は119万8,010件でした。そのうち、民事上の個別労働紛争の相談では、「いじめ・嫌がらせ」が55,614件で、14年連続で最多でした。

さらに、2022年4月からは、法律に定めるパワハラの相談は別の制度で受けていて、この55,614件には含まれていないと注記されています。職場の人間関係で悩んでいる人は、とても多いということです。

出典:厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(令和8年7月7日公表)

会社にはパワハラを防ぐ義務がある

労働施策総合推進法(第30条の2)により、事業主には、職場のパワハラを防ぐための措置が義務づけられています。2020年6月1日から事業主の義務となり、2022年4月1日からは中小企業にも義務化されました。病院や介護施設、クリニックも対象です。

事業主がとるべき措置には、次のようなものがあります。

  • ハラスメントの内容や方針を明確にし、周知すること
  • 相談窓口を設けること
  • 相談に適切に対応し、事実関係をすばやく正確に確認すること
  • 相談した人や当事者のプライバシーを守ること
  • 相談したことなどを理由に、不利益な取り扱いをしてはならないと定め、周知すること

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」、あかるい職場応援団

職場の就業規則や掲示物、院内のイントラネットなどに、ハラスメントの相談窓口が書かれているはずです。まずは確かめてみましょう。

今日からできる対処

1. 記録を残す

いつ、どこで、誰に、何を言われたか(されたか)、周りに誰がいたかを、その日のうちにメモしておきましょう。メールやチャットの文面は保存しておきます。記録は、相談するときにも、自分の気持ちを整理するときにも役立ちます。

2. 一人で抱えない

同期、信頼できる先輩、ほかの部署の人、家族など、話せる人に話しましょう。「自分が悪いのかもしれない」と思い込んでいるときほど、外からの見方が助けになります。

3. 職場の相談窓口や上の立場の人に相談する

直属の上司が原因の場合は、その上の管理職や、人事・総務の担当、ハラスメントの相談窓口に相談します。記録を持っていくと、状況を伝えやすくなります。

4. 体のサインを見逃さない

眠れない、食欲がない、朝になると体が動かない、休みの日も仕事のことが頭から離れない。こうしたサインが続くときは、早めに医療機関に相談しましょう。体調を崩してからでは、回復に時間がかかります。

公的な相談先

  • 総合労働相談コーナー:各都道府県労働局や労働基準監督署など全国378か所。いじめ・嫌がらせ、パワハラなどあらゆる労働問題の相談ができます。予約不要・無料(土日祝・年末年始は休み)
  • 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室):パワハラの相談先として案内されています
  • こころの耳電話相談:0120-565-455(平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日・年末年始を除く)。働く人とその家族のメンタルヘルスの相談窓口です。非通知の電話は受け付けていないので、番号の前に「186」を付けてかけます

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」、こころの耳(2026年11月7日確認)

パワハラとまではいかない人間関係のつらさには

はっきりしたパワハラではなくても、「話しかけにくい」「質問すると嫌な顔をされる」といったつらさもあります。そんなときに、自分でできる小さな工夫です。

  • 質問は「結論+自分の考え」で短く:「〇〇さんの歩行練習、△△で迷っています。私は□□と考えたのですが、どう思われますか」と聞くと、相手も答えやすくなります
  • 相談する相手を一人に決めない:話しやすい先輩や、他職種の人など、相談先を複数持っておくと気持ちが楽になります
  • 仕事と自分を切り分ける:指摘されたのは「その日のプラン」で、「あなた自身」ではありません

それでもつらさが続くなら、我慢を続ける必要はありません。上で紹介した相談先や、職場を変える選択肢も考えてみてください。

「ダメな作業療法士」と言われて落ち込んでいるあなたへ

先輩や上司から「ダメだ」と言われ続けると、自分には向いていないのではと考えてしまいます。でも、リハビリの評価やプログラムには、いくつもの考え方があります。私自身、1年目に考えたプランを「正解は一つ」のように直されていて、考えること自体が怖くなった時期がありました。あとになって、それは自分の力不足だけではなく、職場ごとの教え方の違いでもあったと気づきました。

新人の考えをまず聞いてから、一緒に直していく職場もあります。今の職場の教え方が合わないことと、あなたが作業療法士に向いていないことは、別の話です。

職場を変えるという選択肢

相談しても状況が変わらない、体調を崩しかけている、という場合は、職場を変えることも前向きな選択肢です。リハビリ職は、病院、クリニック、老健、訪問、デイサービスなど、働く場所の選択肢が多い仕事です。

ただ、人間関係や教え方は、求人票を見てもわかりません。次の職場で同じことをくり返さないために、次のことを確かめましょう。

  • 見学のときに、スタッフ同士のやりとりや、新人と先輩の話し方を見る
  • 「新人のプランは、どのように一緒に確認していますか」と、教え方を聞いてみる
  • リハビリ職の人数と、最近辞めた人がいるかを聞く
  • 転職サイトの担当者に、職場の雰囲気や離職の状況を確かめてもらう

転職サイトの担当者は、求人を出している職場とやりとりをしているので、職場の雰囲気や人の入れ替わりなど、自分では聞きにくいことを確かめてもらえることがあります。今すぐ辞めるつもりがなくても、「ほかにどんな職場があるか」を知っておくだけで、気持ちに余裕が生まれます。

辞める前に考えておきたいこと

  • 体調が最優先:心や体が限界なら、まず休むことを考えましょう。医師の診断があれば、休職の制度を使える職場もあります
  • 次の職場を決めてから辞めるか:余裕があれば、在職中に次の職場を探すほうが、お金の面でも安心です
  • 記録は辞めたあとも保管する:あとで相談が必要になったときに役立ちます

よくある質問

Q. 厳しい指導は、すべてパワハラですか?

A. いいえ。業務上必要で相当な範囲の指導は、パワハラにはあたりません。ただし、人格を否定するような言動は、指導の名目でもパワハラにあたり得ます。

Q. 相談したら、職場での立場が悪くなりませんか?

A. 事業主には、相談したことなどを理由に不利益な取り扱いをしてはならないと定め、周知することが求められています。不安なときは、職場の外の公的な窓口に先に相談してみましょう。

Q. 小さなクリニックでも、相談窓口はありますか?

A. 2022年4月からは中小企業にもパワハラ防止の措置が義務づけられています。職場の相談窓口がわからないときは、総合労働相談コーナーに相談できます。

Q. 人間関係が理由で転職すると、面接で不利になりますか?

A. 前の職場の悪口として伝えるのではなく、「教育の体制が整った職場で、患者さんにしっかり向き合いたい」など、次の職場で何をしたいかに言いかえて伝えると、前向きに受け取ってもらいやすくなります。

まとめ

リハビリ職の職場は、少人数で上下関係が強く、人間関係がこじれやすい環境です。パワハラは法律で定義されていて、業務上必要で相当な範囲を超えた言動や、人格を否定する言動はパワハラにあたり得ます。職場のいじめ・嫌がらせの相談は国の労働相談で14年連続で最多で、一人で抱える問題ではありません。

まずは記録を残し、信頼できる人や公的な窓口に相談しましょう。体調を崩す前に、職場を変えることも選択肢です。人間関係は求人票ではわからないので、見学や転職サイトの担当者を通して、職場の雰囲気まで確かめてから選んでください。

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