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「理学療法士で年収1000万円は可能?」「今の給料のままで将来やっていけるのか不安」。給料の話は、リハビリ職の悩みの中でも特に多いものです。
私は現役の作業療法士です。この記事では、国の統計で理学療法士の平均年収を確かめたうえで、年収1000万円に近づく道はどこにあるのか、そして現実的な目標の立て方を整理します。
この記事の結論
- 国の統計では、理学療法士・作業療法士などの平均年収の目安は約443.6万円。病院や施設に勤めるだけで1000万円に届くのは、かなり難しい
- 1000万円に近づく道は、経営に関わる・自費の事業を持つ・資格を生かして別の職種や海外で働く・本業と副業を組み合わせるなど、働き方そのものを変えるもの
- どの道もリスクと準備が必要。まずは600万〜700万円を目標に、今の職場と転職で上げられる分を確かめるのが現実的
この記事の目次
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理学療法士の平均年収は約443.6万円
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、職種「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士」の平均は次の通りでした。

| 企業規模 | 平均年齢 | きまって支給する給与(月) | 賞与など(年) | 年収の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 計(10人以上) | 36.2歳 | 30万9,900円 | 71万7,200円 | 443.6万円 |
| 1,000人以上 | 34.5歳 | 31万5,000円 | 82万9,600円 | 461.0万円 |
| 100〜999人 | 36.5歳 | 30万5,300円 | 69万8,500円 | 436.2万円 |
| 10〜99人 | 37.7歳 | 31万9,400円 | 59万600円 | 442.4万円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(e-Stat)。年収の目安は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算。理学療法士だけでなく、作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含む数字です。
平均でも、1000万円の半分に届きません。勤める病院や施設の規模で比べても、差は数十万円ほどです。同じ働き方のまま、給料表の中だけで1000万円を目指すのは現実的ではないと考えたほうがよいでしょう。
なぜ給料が上がりにくいのか
- 収入の多くが公的な報酬で決まる:病院や施設のリハビリの収入は、医療保険や介護保険の報酬で決まり、職場が自由に値段を上げられません
- 1人が生み出せる収入に上限がある:リハビリの時間には限りがあり、担当できる量にも上限があります
- 役職の数が限られる:リハビリ科の管理職のポストは多くありません
つまり、年収を大きく上げるには、「同じ仕事をたくさんする」より、「収入の仕組みが違う働き方に移る」ことが必要になります。
年収1000万円に近づく5つの道
| 道 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 経営や管理に関わる | 法人の役員や、複数の事業所を管理する立場になる | ポストが少なく、臨床から離れることが多い |
| 2. 自費の事業を持つ | 保険を使わないリハビリやコンディショニングの事業を始める | 医療保険を使ったリハビリは単独で開業して提供できない。集客と経営の力が必要 |
| 3. 資格を生かして別の職種へ | 医療機器や介護用品の会社、研修・教育の仕事など | 成果で給料が決まる仕事もあり、安定とは引きかえ |
| 4. 海外で働く | アメリカなど、理学療法士の給料水準が高い国で資格を取って働く | 現地の資格と語学が必要で、時間と費用がかかる |
| 5. 本業と副業を組み合わせる | 本業の給料に、講師、執筆、自費の施術などの収入を足す | 勤め先の副業の決まりを確かめる。体力の限界もある |
1. 経営や管理に関わる
訪問看護ステーションや通所の事業所などを運営する法人で、役員や複数の事業所の管理者になる道です。ただし、こうした立場の給料は法人によって大きく違い、統計で示せる数字はありません。求人を見るときは、役職と給料の幅、評価の決まり方を確かめましょう。
2. 自費の事業を持つ
理学療法士が単独で開業して、医療保険を使ったリハビリを提供することはできません。そのため、開業するなら保険を使わない自費のサービス(体の使い方の指導、運動教室、スポーツ選手のコンディショニングなど)になります。収入に上限はありませんが、集客や経理を自分でする必要があり、収入がゼロになるリスクもあります。
3. 資格を生かして別の職種へ
医療機器や福祉用具の会社の営業・企画、介護事業の本部、教育や研修の仕事など、理学療法士の知識を生かせる一般企業の仕事もあります。給料の決まり方は会社によって違います。くわしくは理学療法士が一般企業へ転職する方法で紹介しています。
4. 海外で働く
アメリカ労働統計局(BLS)によると、アメリカの理学療法士の年収の中央値は101,020ドル(2024年5月)です。為替によっては日本円で1000万円を超える水準です。ただし、アメリカで働くには現地の資格試験に合格する必要があり、語学や学歴の条件もあります。生活費や税金も日本とは違います。くわしくは海外の理学療法士の記事を読んでみてください。
5. 本業と副業を組み合わせる
本業の給料だけで1000万円は難しくても、副業の収入を足して近づける人もいます。ただ、副業ができるかは勤め先の就業規則によります。公務員は原則として副業が制限されています。副業の例は理学療法士の副業の記事にまとめています。
道を選ぶ前に確かめたいこと
経営や管理に進みたい人
管理の仕事では、臨床の力に加えて、スタッフの育成、勤務表の作成、収支の管理などが求められます。今の職場で、主任やリーダーの役割を経験できるかを確かめてみましょう。複数の事業所を持つ法人なら、管理者を育てる仕組みがあるかも聞いてみるとよいでしょう。
自費の事業を考えている人
自費のサービスは、利用者が全額を払うので、選ばれる理由がはっきりしている必要があります。始める前に、次のことを書き出してみてください。
- 誰の、どんな困りごとを解決するサービスか
- 近くに同じようなサービスはあるか、値段はいくらか
- 収入がない月が続いても、何か月生活できるか
- 本業を続けながら、小さく試す方法はあるか
海外で働きたい人
国によって、資格の取り方、必要な語学の力、かかる年数が大きく違います。まずは働きたい国の資格の制度を、公的な機関の情報で確かめることから始めましょう。
まずは600万〜700万円を目標にする
いきなり1000万円を目指すより、まず今より100万〜200万円上げる道を考えるほうが現実的です。
- 今の職場で確かめる:昇給の幅、役職の条件、資格手当、残業代がきちんと払われているか
- 給料の高い領域や職場を比べる:訪問リハビリなど、出来高の給料体系がある職場もある
- 転職で条件を上げる:同じ経験年数でも、職場によって給料は違う
年収600万円を目指す方法は理学療法士が年収600万円を目指す方法で、訪問リハビリの働き方は訪問リハビリの記事で紹介しています。
PR求人票ではわからない職場の中身は、リハビリ職専門の転職エージェントの担当者に確かめてもらう方法もあります。PT・OT・STワーカーなら、「すぐ転職したいわけではない」という相談からでも使えます。
給料を比べるときに見たいこと
| 見ること | 理由 |
|---|---|
| 基本給と手当の内訳 | 手当が多いと、賞与や退職金の計算のもとになる基本給が低いことがある |
| 賞与の月数と実績 | 求人票の「賞与あり」だけでは金額がわからない |
| 昇給の実績 | 何年目で、いくら上がった人がいるか |
| 出来高の仕組み | 訪問の件数などで給料が変わる場合、体調を崩したときの収入も考える |
| 残業代の扱い | 記録や勉強会の時間が、残業として払われているか |
残業代については理学療法士の残業と残業代の記事でくわしく書いています。
年代ごとの考え方
| 年代・経験 | 考えたいこと |
|---|---|
| 1〜3年目 | 給料より、臨床の基礎と経験を積める職場か。将来どの道に進むかの材料を集める時期 |
| 4〜9年目 | 専門の領域や資格、管理の経験。転職で条件を上げやすい時期でもある |
| 10年目以降 | 役職や経営、教育、自費の事業など、収入の仕組みが違う働き方を具体的に考える |
どの年代でも、家族の状況や体力によって選べる道は変わります。何歳まで今の働き方を続けられるかは、理学療法士は何歳まで働けるかの記事で考えています。
年収を上げる前に考えたいこと
- 収入と働く時間のバランス:副業や出来高の仕事で収入を増やすと、休む時間が減ります。続けられる働き方かを考えましょう
- 安定と引きかえになるもの:自費の事業や成果で給料が決まる仕事は、収入が下がる月もあります。生活費の何か月分を準備しておくかを決めておきましょう
- 臨床を続けたいかどうか:経営や企業の仕事は、患者さんと関わる時間が減ることが多いものです。自分が仕事に何を求めるかを先に整理しておくと、迷いにくくなります
一人で決めにくいときは、先輩や家族、転職エージェントの担当者など、立場の違う人の意見を聞いてみるのも一つの方法です。
今日からできる準備
- 今の給与明細を分解する:基本給、手当、残業代、賞与の月数を書き出す
- 就業規則を確かめる:昇給の決まり、役職手当、副業の可否
- 5年後の働き方を3つ書く:今の職場で続ける、職場を移る、働き方を変える。それぞれの年収の目安を調べる
- 相場を知る:同じ経験年数・同じ領域の求人の給料を比べる
給料の相場は、一人では調べきれない
同じ経験年数でも、職場によって給料は違います。求人サイトに出ている求人だけでは比べきれないこともあります。リハビリ職に特化した転職エージェントなら、職場ごとの給料の相場を聞けることがあります。最初に「すぐ転職したいわけではない」と伝えて、相場を聞くだけの使い方もできます。
サービスの違いはPTOTSTワーカーとPTOT人材バンクの比較で紹介しています。
よくある質問
理学療法士で年収1000万円の人はいますか?
経営に関わる人や、自費の事業を持つ人、海外で働く人などにはいると考えられます。ただ、統計で人数を示せるデータはありません。病院や施設に勤める理学療法士の平均は、約443.6万円です。
管理職になれば、どのくらい上がりますか?
職場によって大きく違います。役職手当の金額と、管理職になる条件を、就業規則や面接で確かめましょう。
公務員の理学療法士は給料が高いですか?
安定していて、勤続による昇給がわかりやすいのが特徴です。くわしくは理学療法士が公務員に転職する方法の記事にまとめています。
作業療法士でも同じですか?
統計は理学療法士と作業療法士などを合わせた数字で、考え方はほぼ同じです。作業療法士向けには作業療法士が年収1000万円になる方法の記事もあります。
認定理学療法士などの資格を取ると、給料は上がりますか?
資格手当があるかどうかは職場によって違います。資格そのものより、資格を生かせる役割(教育、専門外来など)に就けるかが大切です。就業規則や求人票で、手当の有無を確かめましょう。
訪問リハビリは給料が高いと聞きますが、本当ですか?
出来高の給料体系がある職場では、件数によって給料が高くなることがあります。ただし、体調を崩したときや、利用者が減ったときの収入も考えておく必要があります。
年収1000万円は、手取りでいくらくらいですか?
税金や社会保険料は、家族の状況や住んでいる地域などで変わるので、一つの数字では言えません。額面の年収と手取りには差があるので、目標を立てるときは「手取りでいくら必要か」から逆算すると、現実的な計画を立てやすくなります。
夫婦で働く場合はどう考えればいいですか?
一人で1000万円を目指すより、世帯の収入として考えるほうが現実的な場合もあります。家計の目標と、それぞれが無理なく続けられる働き方を話し合ってみましょう。
給料が上がらないなら、理学療法士を辞めたほうがいいですか?
給料だけで決めず、仕事のやりがいや体力、生活とのバランスもあわせて考えましょう。辞めるかどうかの考え方は理学療法士を辞めたいと思ったらの記事で整理しています。
まとめ
国の統計では、理学療法士などの平均年収の目安は約443.6万円です。病院や施設で働くだけで1000万円に届くのは難しく、近づくには経営、自費の事業、別の職種、海外、副業など、働き方そのものを変える必要があります。
どの道もリスクと準備が必要です。まずは600万〜700万円を目標に、今の職場の昇給と、ほかの職場の相場を確かめることから始めてみてください。
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