理学療法士を辞めたいと思ったら|原因別の対処と、続ける・移る・離れるの考え方【現役OT】

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「理学療法士を辞めたい」「朝、職場に行くのがつらい」「でも、せっかく取った国家資格を手放していいのか」。そんな気持ちで、この記事を開いてくれたのだと思います。

私は現役の作業療法士です。1年目のとき、上司のパワハラのような指導と、自己研鑽という名目の残業が続き、辞めようと思ったことがあります。自分で考えた治療やプランを、「正解は一つ」のように直されるのもつらい経験でした。だから、「辞めたい」を甘えだとは思いません。

この記事では、辞めたいと感じる原因ごとの対処と、今の職場で続ける・職場を移る・理学療法士から離れるのどれを選ぶかの考え方を整理します。これから目指す人向けの話は理学療法士はやめとけと言われる理由にまとめているので、ここでは今働いている人の話に絞ります。

OT
この記事を書いた人:だぶ
現役の作業療法士。急性期病院で働きながら、障害のある方の就労支援にも関わっています。リハビリ職の働き方・給料・転職について、現場の目線で発信しています。

この記事の結論

  • まず、眠れない・食べられないなどの不調があれば、判断より休むことと受診を優先する
  • 「理学療法士が嫌」なのか「今の職場が嫌」なのかを分ける。後者なら、資格を手放さなくても変えられることもある
  • 原因を人・時間・お金・仕事の中身に分けると、次の一手が決まる
  • すぐ辞めると決めなくても、情報を集めることはできる。動く前に、確かめることを決めておく


最初に確かめたい:今すぐ休んだほうがいい状態か

これからの話は、考える力が残っているときのものです。次のような状態が続いているなら、辞めるかどうかを決めるより先に、体と心を休めることを優先してください。

  • 眠れない、または寝ても疲れが取れない日が続いている
  • 食欲がない、吐き気や動悸がある
  • 出勤前に涙が出る、職場の近くで足が止まる
  • 消えてしまいたいと思うことがある

心療内科や精神科、かかりつけ医に相談しましょう。厚生労働省の働く人向けのサイト「こころの耳」にも、相談窓口がまとめられています。消えてしまいたい気持ちが強いときは、一人で抱えず、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に載っている電話やSNSの窓口にも相談してください。休職できるかどうかは、職場の就業規則を確かめるか、人事や総務に相談してください。休んでいる間の収入は、加入している健康保険の傷病手当金を受けられる場合があります。休むことは逃げではありません。

「辞めたい」を4つに分ける

つらいときは、すべてが嫌に感じます。ただ、原因によって打つ手はまったく違います。ここ数週間でつらかった場面を3つ書き出し、次のどれに近いかを見てみてください。

原因 よくある場面 まず試すこと
人 上司の指導がきつい、質問しにくい、派閥がある 記録を残す。別の先輩や上の立場の人に相談する
時間 記録が定時に終わらない、勉強会や学会準備で休めない 時間を記録する。勤務時間の扱いを確かめる
お金 昇給が少ない、生活が苦しい 給与明細と昇給の実績を見て、外の条件と比べる
仕事の中身 単位に追われる、回復が見えない、向いていない気がする 領域や担当を変えられるかを確かめる

書き出してみて、「人」「時間」「お金」が中心なら、それは理学療法士という仕事より、今の職場の問題である可能性があります。

「辞めたい」の原因から次の一手を選ぶ:今の職場で続ける、職場を移る、理学療法士から離れる

原因別の対処

人間関係・指導がつらいとき

リハビリ室は人数が限られ、同じ先輩や上司と毎日顔を合わせます。新人のうちは、その人の評価がすべてのように感じてしまいます。

まず、いつ・どこで・何を言われたかを記録しておきましょう。指導とハラスメントの線引きは、自分だけでは判断しにくいものです。記録があれば、ほかの人に相談するときに具体的に話せます。

  • 別の先輩や、リハビリ科の管理職に相談する
  • 職場の相談窓口や人事に相談する
  • 職場の外なら、都道府県労働局などにある「総合労働相談コーナー」に相談する

職場でのパワーハラスメントについて、事業主には防止のための措置が義務づけられています。相談したことを理由に不利益な扱いをすることも、法律で禁じられています。相談しても何も変わらない、相談したことで扱いが悪くなるという場合は、離れることも十分に理由のある選択です。

残業・自己研鑽で休めないとき

記録、カンファレンスの資料、勉強会、学会の準備。「自己研鑽だから」という言葉で、勤務時間に含まれていない時間はないでしょうか。

上司の指示で参加している、参加しないと不利益があるといった時間は、労働時間にあたる可能性があります。まず1か月、始業前と終業後に何をしていたかを記録してみてください。くわしくは理学療法士の残業と残業代の記事で整理しています。

給料が理由のとき

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士をまとめた数字で、きまって支給する給与(残業代などを含む。手取りではありません)は月30万9,900円、年間賞与は71万7,200円でした。単純に計算すると、年収の目安は約443.6万円です(平均36.2歳、勤続8.4年)。

同じ調査の10人以上の企業、男女計で見ると、企業規模1,000人以上は約461.0万円、100〜999人は約436.2万円、10〜99人は約442.4万円でした。差は最大で約25万円ですが、年齢や勤続年数も違い、規模の順にきれいに並んでもいません。職場ごとの手当や昇給の仕組みまで見ないと、自分の給料が高いか低いかは判断できません。

見るところは、基本給と手当の内訳、ここ数年の昇給の実績、賞与の計算のしかたです。今の条件が相場と比べてどうかは、リハビリ職専門の転職エージェントに聞く方法もあります。サービスによっては、すぐ転職するつもりがないと伝えて相談できます。

仕事の中身が合わないとき

「単位を取るだけの毎日に感じる」「患者さんが良くなる実感がない」というときは、領域が合っていないのかもしれません。急性期で短い関わりを続けるのと、訪問で長く関わるのとでは、やりがいを感じる場面が違います。

同じ法人の中で、部署や担当を変えられないかを聞いてみましょう。それが難しければ、次の章の「職場を移る」が選択肢になります。

経験年数ごとの考え方

1年目:「まず3年」にしばられなくていい

「3年は続けないと」と言われることがあります。基本を身につける時間が大切なのは確かですが、心身を壊してまで守る決まりではありません。短い期間で辞めた場合は、面接で理由を聞かれることが多いので、事実と、次に何を確かめて選んだかを話せるようにしておきましょう。

次の職場を探すなら、誰が教えてくれるのか、一人立ちまでの流れはどうなっているかを確かめます。

3〜5年目:自分の得意が見えてくる時期

一通りの担当ができるようになり、職場の見え方も変わってきます。後輩の指導や委員会などの役割が増えて、負担が重くなるころでもあります。何に力を入れたいかを決めて、領域を変えるか、今の場所で専門を深めるかを考えましょう。

10年目以降:役割と条件を見直す

管理職になりたいのか、現場で働き続けたいのか。結婚や子育て、介護、体力の変化で、働き方を変えたくなる時期でもあります。理学療法士は何歳まで働けるかもあわせて読んでみてください。

選択肢1:今の職場で続ける

辞める前に一度、変えられることがないかを試しておくと、あとで後悔しにくくなります。相談して変わらなかったという事実は、次の面接で理由を話す材料にもなります。

  • 担当の数や単位数の調整を相談する
  • 部署や施設の異動を相談する
  • 時短勤務や休暇の取り方を確かめる
  • 休日は仕事の勉強をしない日を決める

選択肢2:理学療法士のまま、職場を移る

「理学療法士が嫌」ではなく「今の職場が嫌」なら、まず考えたい選択肢です。働く場所が変わると、一日の流れも、患者さんとの関わり方もかなり変わります。次の表は、私の見方で整理した一般的な傾向です。実際は職場によって違うので、見学で確かめてください。

職場 合いやすい人 確かめたいこと
回復期 生活に戻るまでをじっくり見たい 1日の単位数、記録の時間
整形外科クリニック 運動器を深めたい、外来で関わりたい 1日の人数、1人にかけられる時間
訪問リハビリ 家での生活に長く関わりたい 訪問件数、緊急時の体制、一人で動く不安への支え
老健 在宅復帰や多職種との連携に関わりたい 担当人数、書類の量
デイサービス 体調や生活に合わせて働きたい 機能訓練の内容、送迎や介助の有無
公務員 安定した制度の中で働きたい 募集の時期、異動の範囲

今の職場より「楽そう」だけで選ぶと、また同じことで悩みやすくなります。今回つらかった原因が、次の職場で解決するかどうかを基準にしましょう。チェックの項目は楽でホワイトな職場の見分け方にまとめています。

見学や面接で聞きたいこと

つらかった原因 聞き方の例
指導・人間関係 「困った症例は、誰にどのように相談していますか」
残業 「記録は勤務時間内に終わることが多いですか。勉強会は勤務時間の扱いですか」
給料 「昨年の昇給はどのくらいでしたか。経験年数は給与にどう反映されますか」
仕事の量 「1日の単位数や訪問件数は、どのくらいが目安ですか」
人の入れ替わり 「この1年で、何人くらい入れ替わりましたか」

直接聞きにくいことは、リハビリ職専門の転職エージェントの担当者に確かめてもらう方法もあります。サービスの違いはPTOTSTワーカーとPTOT人材バンクの比較でまとめています。

選択肢3:理学療法士から離れる

臨床そのものが合わないと感じるなら、離れるのも一つの道です。人と関わる力、体の知識、記録や説明の経験は、ほかの仕事でも生かせます。国家資格は、一度離れてもなくなるわけではありません。あとで戻るという道も残ります。

一方で、異業種に移ると未経験からの出発になり、給料が一時的に下がることもあります。先に求人を見て、条件を確かめてから決めましょう。くわしくは理学療法士が一般企業へ転職する方法で紹介しています。

辞めると決めたときの進め方

  1. 就業規則を読む:退職の申し出の期限、退職金、有給休暇の扱いを確かめる
  2. できれば次を決めてから伝える:収入が途切れないほうが、落ち着いて選べる。体調が悪いときは別
  3. 直属の上司に伝える:理由は短く。「一身上の都合」でも退職はできる
  4. 引き継ぎをする:担当患者さんの情報を、書面にしておく
  5. 手続きを確かめる:健康保険、年金、雇用保険、住民税

期間の定めのない雇用では、民法第627条により、退職を申し出てから2週間で雇用は終わるとされています。ただ、引き継ぎを考えると、就業規則に沿って早めに伝えるほうが、自分にとっても進めやすいでしょう。強く引き止められて話が進まないときは、総合労働相談コーナーに相談できます。

辞める時期と手順は、転職時期の記事(作業療法士向けですが、手順は共通です)にくわしく書いています。

焦っているときにやらないほうがいいこと

  • つらい当日に、勢いで退職を伝える:一晩おいて、原因を書き出してからでも間に合います
  • 1つの求人だけを見て決める:比べないと、条件のよしあしはわかりません
  • ネットの体験談だけで決める:職場ごとの差が大きい仕事です。自分の職場の事実で判断します
  • 一人で抱え続ける:同期、学校の先生、家族、外の相談窓口など、誰か一人に話してみましょう

よくある質問

1年目で辞めたら、次の就職で不利になりますか?

理由を聞かれることは多いでしょう。ただ、それだけで道が閉ざされるわけではありません。何があったかという事実と、次の職場で何を確かめたかを話せるようにしておきましょう。話し方は理学療法士の転職回数の記事で紹介しています。

理学療法士を辞めて後悔することはありますか?

原因が職場だったのに、職種ごと離れてしまった場合は、後悔につながりやすいと思います。先に職場を変えてみて、それでも合わなければ離れる順番なら、判断しやすくなります。

辞めたいと思うのは甘えですか?

そうは思いません。理学療法士の悩みは、新人にも経験者にもあるものです。大切なのは、気持ちを否定することではなく、原因を分けて次の一手を決めることです。

休職してから考えてもいいですか?

体調が悪いなら、医師に相談しながら休むのは大切な選択肢です。休職の制度や期間は職場で違うので、就業規則を確かめてください。

転職エージェントに相談したら、転職しないといけませんか?

転職の義務はありません。最初に「すぐ転職したいわけではない」と伝えて、情報を聞く使い方もあります。ただ、連絡の頻度は担当者によって違うので、希望の連絡方法を伝えておきましょう。

応募書類で悩んでいる人は、理学療法士の志望動機の書き方と例文も読んでみてください。

給料の将来が気になる人は、理学療法士で年収1000万は可能かを統計で整理した記事も読んでみてください。

まとめ

理学療法士を辞めたいと思うのは、おかしなことではありません。まず体調を確かめ、不調があれば休むことを優先してください。

そのうえで、原因を人・時間・お金・仕事の中身に分けます。今の職場で変えられることを試し、変わらなければ職場を移る。臨床そのものが合わないなら離れる。この順番で考えると、納得して選びやすくなります。体調が悪いときや、相談が難しいときは、この順番にこだわらなくてかまいません。

今すぐ決めなくても大丈夫です。つらかった場面を3つ書き出すことから始めてみてください。

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